◆「海港」99号刊行(コスモス短歌会長崎支部) 5/27長崎新聞郷土文芸「あわい」欄より。

 読みやすいように活字にしました。(要約)

◎言葉遊びの魅力が詰まった一 冊だ。


 巻頭詠は坂井寿々子さんの「アルファベットの歌」。20首の連作に、AからZまでの26文字を順番に詠み込む技巧を披露した。


★気まぐれなAB型が夜半に煮るイチゴのジャムはマグマのごとし」

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★オロナミンCからリポビタンDヘハシゴして言う「ファイト一発」

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★福引で一等賞の子どもらはK点越えのジャンプを見せる


 Eチケット、5G、QRコード、UVカット・・・。日常的な単語を短歌のリズムに乗せながら、アルファベット表記の言葉なしでは成り立たない現代の生活を際立たせている。


◎毎回工夫を凝らした作品がそろう題詠は「和」。9人が10首ずつ出詠した。


 岩丸幸子さんは「紅差し指」をテーマに装いの風景を詳写。


★初場所のさじき席には芸子衆が和服できりりと華を添えたり

★艶やかな振袖を着た娘らはふわふわショールと平和をまとう


 江頭洋子さんは「昭和九十九年」をテーマに過ぎ去った時間を詠む。


★楝の実白くゆれゐてうたふごとし和布刈の柊二歌碑の空間

★和箪笥にねむる和服をどうしようどうにもできずできずそのまま

★昭和九年生まれはことにごだはりぬことしは昭和九十九年


 その他、15人の自由詠、前号作品の評などを掲載。


★和やかで明るい性にはあらざれど真摯に生きし夫和明 立石千代女


 問い合わせは立石千代女さん(電0957・68・3559) (記事は犬塚泉さん)


◆あじさい42号(水甕長崎支社)発行 6/3長崎新聞郷土文芸「あわい」欄より。

▼あじさい42号(水甕長崎支社)

年1回刊行。20人が15首ずつ、輪郭のくっきりした個性を詠み込んでいる。


杉山幸子さん(「ポスト」という題に人のつながりを重ねた)

★人がみなポストとなりて立ちすくむラインやメール送りつけられ

★ポストとはだれかのもとへ繋がる口赤ちゃんドコへ配達ですか


西山直美さん(「ヴェ―ルの女」と題し、意味ありげな言葉遣いで秘め事の存在をほのめかせる)

★大切なピアスに限って片方を失くす理由は固執するから

★ひと月ぶりに君と会う日は念入りにひと月分の老いを隠しぬ


題詠「長崎の島」には20人が作品を寄せた。

★赴任地の対馬ゆ持ち来しヒトツバタゴ三十余年の貫禄を見す 前田靖子)

★青島をぐるりとドライブ三〇分信号なき島のど かなる道 中村すみ子

★長与にも泳いでいけそな島がある小さくちょっぴり可愛い形 工藤敏子

★さざ波が光を返す島の浜カラカラカラと遠き日語る 山口輝美

★五島より持ち帰りたるやぶつばきわが家の庭に疑わず咲く 上川原紀人


他、収録作品

★神様のたくさんおわす母にして風も火も水も祀りて祈る 荒 美津子

★さわさわと揺るる麦畑見ておればヤクルト色のバス走りくる 河野里枝

★メールでの会話が増えた毎日に発する言葉をつかみ損ねる 杉山幸子

★猛暑日のわが身に風を起こさんと書店で選ぶ『恐竜図鑑』工藤敏子


招待作品は加藤直美さんの「モロー反射」10首。

くりかえしイマジンを聴くはかなげな昼の月浮く神帰月


昭和初期の歌人、明石海人がハンセン病患者としての苦しみをつづった歌集「白描」についての特集もある。問い合わせは 水甕長崎支社(電095 ・849・1390)


▼7月7日第57回川まつり川柳大会 (諫早川柳蛍会=井上万歩会長)

・諫早市栄田町の栄田町公民館

・題と選者    ▽「食べる」西畑伸二 ▽「詳しい」 石丸尚志 ▽「めきめき」萩原奈津子  ▽「大地」三瀬清一朗 ▽「旗」西川東岳 ▽「育つ」平田朝子 ▽「舞台」井上万歩

・投句は1題当たり2句まで

・午前9時半開場、出句締め切り同11時半

・会費2千円(昼食、発表誌代込み)

・投句は郵便でも受け付ける。投句料千円(発表誌代込み)。締め切りは6月28日(消印有効)。送付先は〒854-0001、諫早市福田町47の29、高橋悟さん(電0957・22・5024)


(記事は犬塚泉さん)