速報!山梨の松田健嗣さん、「第14回花曇俳句大会」にて【大会大賞】受賞!


    当大会は、南アルプス市出身の福田甲子雄さんをしのぶ俳句大会で、実行委員会が主催し、山梨日日新聞社・山梨放送・「今」俳句会・山廬文化振興会の共催で行なわれるもの。

    松田健嗣さんは、私の句友田辺義樹さんのお義兄さんで甲斐市で「さつき野俳句会」を主催されており私も参加(通信)させていただき勉強させていただいてます。

    このニュースは田辺義樹さんから送っていただきました。(下段にその新聞切り抜き。山梨日日新聞)

 また福田甲子雄さんについては↓をご参照ください。

◎広渡敬雄とゆく全国・俳枕の旅【第55回】 甲府盆地と福田甲子雄 2022/12/2

https://ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12851331914.html


    受賞作品は、


言の葉の花びらと舞ふ甲子雄の忌


以下、「今俳句会」の瀧澤和治さんの選評です(新聞より要約)。


 〜作中の「花びらと舞ふ」は、「花びらのように舞う」という意味の比喩。福田さんの忌日(4月25日)は、花の一番盛んな時季。福田さんの俳句作品や文章など多くの業績を想像しながら、言葉の数々が舞っているようだと歌っている。かなり豪華な表現であり、地に着いたしっかりした歌い方でもあり、福田さんにふさわしい。

以下は、その他の入賞作品です。

◇一般の部


【特選】

★清明や楕円の空を鳶一羽 大月 小林光子

    〜「見上げた空が『楕円』であるという把握がとてもユニークで独自。カメラワークを感じさせる」


★父母(ちちはは)のこと子等のこと花曇 南アルプス 浅利里砂子

    〜「季語の『花曇』が表す静けさが重要ではないかと感じた」


★坂の上たそがれながき聖五月 南アルプス 功刀仁美

    〜「『坂の上』の表現が、自分との隔たり、自分の考えの範疇にないもの、との思いを感じさせる」


【秀作】

★雨粒のかがよひつたふ蔦若葉 甲州 駒田玲子

★閻魔前礼して過ぐる卒業子 南アルプス 川手泰子

★山辛夷喝采のごと花開く 南アルプス 功刀仁美②

★風軽し山葵田に花ちらほらと 甲府 大村明子

★暑き日や役の小角の結跏跌坐 甲府 宮沢健児

★夕映えや高みに群るる夏つばめ 大月 内藤よしみ


◇高校生の部(高校生の部には福田さんの農林高の生徒が244句を投句)


【大会大賞】

★寂しさと嬉しさ告げる桜かな 農林高3年 秋山莉空

    〜「出会いと別れのある頃にはいつも桜が咲いていたと、眼前の桜を眺めながら感じたということではないか。寂しさの後に嬉しさを表しているところがとてもいい。若い人の未来が見えてくるよう」(保坂敏子さん。以下同じ)


【特選】

★ザワザワと葉の揺れる音夏が来た 農林高3年 小松令奈

    〜「夏になったことを耳で先に感じ取ったところがいい。中でも『ザワザワ』の表現に『夏が来たな』という勢いを実感した」


★照らされて白く輝く朝桜 農林高3年 山本太一

    〜「 『朝桜』の言葉を使ったところが大人。『白く』という表現も女神のような美しさを感じさせる」


★春告げる蒼天を舞う雲雀かな 農林高2年 萩原ひよ里

    〜「『春』と『雲雀」の二つの季語がっているが違和感がない。雲雀は別名告天子といい、『春告げる』の言葉と響き合っているようで面白い」


◎作家・江宮隆之さん(富士川町)による「龍太先生と福田さんと私」と題した講演もあった。


 江宮さんは初めに、「先達が何かを成したことの裏には、必ずその人の偉業や作品を顕彰する後進の存在がある」と講演のテーマを明かした。


 例に挙げたのは、松尾芭蕉から与謝蕪村、正岡子規へとつながる俳人の系譜。江宮さんは、江戸で俳諧を学び芭蕉に心酔した蕪村は、俳句は『芭蕉に帰れ』と言い続けた人であり、「蕪村がいたから芭蕉は現代に伝わったとされる」。そしてその蕪村を手本にしながら俳句の革新運動を起こして、現代俳句への道を開いたのが子規だったと説明した


 また芥川龍之介が、主治医で俳人でもあった下島空谷とともに、幕末から明治にかけて各地を漂白した俳人・書家の井上井月の句集を作った話も紹介。 


 「先達を後進が顕彰することで、その作品は後の世へ継承されていく。芭蕉における蕪村、井月における芥川と空谷の存在がそうだと思う」


 福田甲子雄さんについては「すばらしい俳人であり、飯田龍太の伝承者でもあった」と言及。龍太に対する福田さんの態度は「真っすぐで真面目そのもの」とし、その姿勢がよく表れたエピソードとして、福田さんが手掛けた飯田龍太年譜を挙げた。


 年譜は、龍太が生まれた年の旧境川村の人口、この年初めて村に電灯がついたことなど龍太を取り巻く地域の状況、歴史も詳細に盛り込まれた。「関係者を訪ねて話を聞き、龍太の俳句や評論、随想など全てに目を通して読み解き、俳句をしない一般の人にも分かるように記述して、福田さんは龍太を伝えることに努めた」


さらに福田さんの「慧眼」として、龍太句の中の「こどもを詠んだ句」に着目し、特色の一つとしたことを挙げた。


 こうした先達の顕彰は、14回を迎えたふるさと句大会も同様であるとし、「皆さんの福田さんへの思いによりこの大会は続いている」と話した。