5/25NHKラジオ文芸選評(短歌)。テーマは「飽きる」、選者は永井祐さん。

1999年、早稲田大学一年時の秋に早稲田短歌会に入会。ゼミは水原紫苑ゼミを受講。2002年、「総力戦」100首で第1回北溟短歌賞次席。2004年、「冒険」30首で第3回歌葉新人賞最終候補。ガルマン歌会を中心に超結社の歌会・批評会に参加しながら、インターネット上で活動する。「セクシャル・イーティング」(2007年)、「風通し」(2008年)に参加。2011年、第一歌集「日本の中でたのしく暮らす」を刊行。2015年6月号から12月号まで『短歌』(角川書店)の時評を担当。2016年4月から、堂園昌彦土岐友浩と、ブログ「短歌のピーナツ」で活動。2018年より『ねむらない樹』読者投稿選者、ならびに笹井宏之賞の選考委員に就任。2020年、第二歌集『広い世界と2や8や7』を刊行し第2回塚本邦雄賞を受賞。紹介された永井祐さんの作品↓

★腕時計する人と仲よくなって外すところに居合わせたりする

★蚊にはわたしだけがいるのかもしれないし わたしには蚊がいて目をつむる


※第6回笹井宏之賞の受賞作品より

★口の中でうずうずしてる言葉かと思ったら舌の位置だった 白野(大賞「名札の裏」より)

★恋人が喫煙者だというだけで「いい人だね」はありがとだけど 遠藤健人(永井祐賞「なってほしくて」より)


◎入選作品


★飽きるほど塩焼きそばを食べていた休憩室の大坪さんは(福岡県 レクどんさん 41)


★自販機の取り出し口が低すぎてコーンポタージュにもう飽きている(茨城県 茂呂直人さん  27)


★くずれない生活にある芯として胡麻ドレッシングをきみと買い足す(兵庫県 石村まいさん)


★金曜が三度あるようなこの週の土曜の手前粘り気がでる(長崎県 公木正さん)


★いいかげん話もダレるそのころに誰かが焼いたみかんのにおい(千葉県 小倉 弓さん)

 ↑ 永井祐さんのイチオシ作品。


★信号はいつもの青で青点滅急ぐほどでもなくて迷った(東京都 青野井高さん)


★駐車場のいやな熱気でお姉ちゃんがほしい気持ちにどっさり飽きる(東京都 橘 苑子さん 22)


★今日もまた言わずに済んだ味噌汁の豆腐を箸の先で潰した(鹿児島県 佐藤 橙さん 27)


★書き飽きた名前を書いてその名前が呼ばれるまでを待つ整骨院(千葉県 芍薬さん)


★島に住む山羊の名前はノンとビリー飽きることなく食べて寝ている(愛知県 山田由美子さん 65)


★保留音社歌は六周目に入るここから歌詞に感動してみる(石川県 竹内一二さん)


★金魚より金魚の糞をいつまでも飽かず眺めた少年時代(東京都 富見井高志さん 57)


★生きるのは飽きたと言ひし母のため布団の縁の金魚を増やす(千葉県 ぽっぽさん 61)


★パチンコに飽きたら次はスロットに座るみたいに全部夕焼け(群馬県 ナカムラロボさん)


★半世紀クレーム処理を繰り返す職場 電話をとると痒くなる(兵庫県 藤田晋一さん 67)


◎来週 6月1日は俳句、兼題は「金魚」、選者は阪西敦子さん。

 締め切りは27日(月)午後11時59分。