5/11の西日本新聞「ながさき読者文芸」は【23年度年間賞】発表でした。
 この賞は、2023年度の「ながさき読者文芸」に掲載された作品の中から、特に優れた作品として選ばれた作品に与えられる賞。受賞者には後日、賞状と記念品が送られます。(私も以前「立春の風よ光よ野よ山よ」という作品で最優秀賞をいただいたことがありました🤗)。

◎俳句 籏先四十三選

 俳句部門では私のよく知っている人が3名も受賞しておられ大変嬉しく思ってます。優秀賞に牛飼水鳥さん、佳作に大先輩の加茂宮宮江さん、今でも同じ句会でご一緒させていただいている馬場定水さん。

◇最優秀賞

★天は紺地は一望の大枯野 佐世保 小山雅義

◇優秀賞(2句)

★反核のデモに加はる赤とんぼ 佐世保 牛飼水鳥

★浮き腰の子らに舌吐く青大将 雲仙 伴信彦

◇佳作(5句)

★夏空に若さ弾けるマーチング 西海 森 保子 

★正月や小船のような靴並ぶ 南島原 松浦せつこ 

★度忘れの台詞愛嬌村芝居 対馬 神宮斉之 

★春雨や互いに譲る歩道橋 佐世保 加茂宮宮江

★ふる里はオラショの島や竜の玉 佐世保 馬場定水


◇選外良句(15句)より

★牡蠣鍋や有明海を懐に 諫早 廣川 豊

★浜焚火問わず語りの耶蘇の浜 佐世保 森 誠

★春の闇ベートーベンの目が動く 島原 坂本優美子

★群狼のごとき烏や柿熟るる 長崎 古木義明

★陸蒸気走りし路や風涼し 諫早 田中道信

★参道の玉砂利光る鵙日和 佐世保 相川正敏

★介護士の目配り気配り隙間風 大村 辻 フミヨ

★朝露を添えて切花出荷せり 大村 内田和代

★田を植えて棚田百個の窓明り 雲仙 城臺文江

★嗚呼あの日靴も焼かれし裸足の子 諫早 篠崎清明

★粒ごとに光の天使マスカット 長崎 成瀬至楽

★水仙や小さき抱負を書く日記 佐世保 詫間初美

★春眠をむさぼつている余生かな 佐世保 渡久地弘子

★爽涼や話のはずむ手話の子ら 佐世保 川原田安子

★七月や元気よそほふ老いの見栄 平戸 古川敏郎


◎歌壇 黒田邦子選

◇最優秀賞

★釘袋腰にさげたる少年の語ることなく一心に打つ 松浦 金子寿美 

 【評より】黙々と仕事をする若者へ作者からのエール。

◇優秀賞(2首)

★少年が見た帆船の雲いずこ今でも時に仰ぐ夏空 佐世保 林田 勝 

★吹く風に身をゆだねたる老猟師こころしずかにその時を待つ 対馬 神宮斉之

◇佳作(5首)

★白波のたかき沖へと船を出す鰆がきたと風が言ふから 壱岐 町田典子

★老いふたり蕎麦を食べおり争いのない幸せをかみしめながら 西海 田中加代子

★とりどりの残り野菜で煮る雪花菜(おから)あて字に似合う仕上がりとなる 佐世保 弓削久美子

★言いたきを妻に言い得て心(うら)やすく夕餉のうどんつるつる啜る 佐世保 小山雅義

★仮免許練習中の黄の車遠くを見つむ若きまなざし 南島原 田中よしみ


◇選外秀歌(6首)

★お祝いのことばに添えて割引の知らせの多し誕生月は 大村 溝田吉大

★「焼き場に立つ少年」の影消えやらず終戦の日より幾年経るも 壱岐 百崎治子

★能登地震の映像見れば思いだす息子の遭いし阪神大震災 佐世保 松崎伸苑

★石棺墓に期待たかまる吉野ケ里何処にありや邪馬台国は 佐々 法本安子 

★妻の留守続きて指のあかぎれの痛む度に思ふ家事の厳しさ 佐世保 鶴田竹一 

★やっとやっと辿りついたよ百二歳ゆっくりゆっくり掃除、洗濯 大村 辻フミヨ


◎諧句 川田金太郎選

◇最優秀賞

★凄まじい進歩の陰に失せるもの 松浦 前田サツキ

◇優秀賞(2句)

★幸せで上書きされる苦い過去 佐々 法本安子 

★散る枯葉一葉一葉に物語 佐世保 鶴田竹一 

◇佳作(5句)

★子は宝平和を紡ぐ救世主 松浦 舩原清洋 

★言の葉にスパイス効かせ句を紡ぐ 諫早 松原静枝

★雲に似て人もドラマを繰り返す 島原 伊藤ミズエ

★つつがなく平凡に生き自画自賛 長崎 荒井孝憲

★湯巡りに妻のハミング聞く車中 壱岐 砥綿 滿


◇選外佳作(6句)

★呼吸する限りの学び未だ米寿 対馬 神宮斉之

★人生の悲喜を操る句の冥利 松浦 皆川源太郎

★胸飾る花誇らしげ卒園児 佐々 衛藤佳奈子

★居酒屋の二十歳と喜寿を祝う酒 長崎 松尾利惠

★芒の穂ふわり膨らみ終わる秋 南島原 上田善悟

★過疎の地に半世紀ぶり鯉のぼり 南島原 板山良継