5/10山梨新報「しんぽう文芸」山梨の句友、田辺さん報。

◎俳壇 山田省吾選

★遠雷に帰路を急げる山路かな 甲府 山下紀子

 【評より】山での雷雨は怖い。一刻も早く家に帰ったほうが良いと判断。

★桐の花里にサーカス来る噂 富士吉田 青柳時子

★山若葉四方にそびゆる甲斐の峰 甲府 村松幸治

★歳月は夢の如しやこどもの日 都留 松沢節子

★鶯や小坊主はこぶ朝御膳 南アルプス 淡路茂美

★富士樹海木洩れ日に咲く馬酔木かな 甲府 伊藤隆雄

★春泥をバスに持ち込む園児かな 中央 志田末男

★土筆摘む土手に母子の弾む声 甲府 遠藤武文

★あやめ咲く義姉懐かしく思ふ庭 甲府 桑野博子


◎柳壇 坂田よし江選

★帰るまで望みは捨てぬ拉致の海 甲州 鶴田甲敬 

★”ウンウン”と頷くけれど聞こえてぬ 甲府 小沢春美

 【評より】老夫婦の会話か。

★クラス会自己紹介で認知され 大月 和田一成

 【評より】俺だ俺だと名乗りわかって貰えた久の友。 

★免許無く金も無いけど幸はある 甲府 小尾康弘

★どの庭も百花繚乱春うらら 甲州 武井透江

★退院の友の笑顔に虹が立ち 山梨 松下時子

★空しさも癒える気がする花便り 甲府 丸山洋子

★負荷かけて自己を鍛える苦労人 市川三郷 遠藤みどり

★悔やむまい過ぎた苦労は済んだ事 中央 鈴木節子

★震源がだんだん近くなる不安 甲府 田口節子


◎歌壇 祢津達子選

★これからが恐いと母今日も云う大丈夫だとそっと肩抱く 中央 新藤秀子

★こんにちは通りすがりの挨拶で知らない距離が少し縮まる 甲州 萩原珠貴

★母伏せば見かねて片付け物洗う息子の優しさ病むこともよし 甲斐 深沢介子

★髭剃りを洗面台にみし日より何だか息子遠くなりたり 甲州 山下栄子

★新学期陽ざし目映き雨あがり手作り弁当焼き肉の匂い 市川三郷 片田佐恵子

★桜花舞い散る丘を耳ゆらし走り来た猟犬(いぬ)今も瞼に 中央 秦 喜子

★荒川の遊歩道より見る金峰山残雪輝き神おわすごと 甲府 天野 正

★咲き誇る要害城址の山桜信玄公の生誕の地に  甲府 中澤栄使

★屋久島の縄文の杉三千年気候変動問うても無言 甲斐 馬場鉄丸

★荒川の土手の桜を散らす風散歩楽しむか若いご夫婦 甲府 櫻井 稔

★しみじみと八代亜紀の舟唄聞く時代を次ぎて生きてゆく歌 昭和 中澤孝子

★優しい花から青天に聳え立ち若葉ふえゆく桜木逞し 甲府 遠藤俊子

★帰ったらママにあげると幼孫野の花折ってばばとの散歩 甲州 水上優子