4/28NHK短歌。選者は枡野浩一さん、ゲストは「かが屋」の加賀翔さん、司会は尾崎世界観さん。

枡野浩一さんは、現在続いている「ことばのバトン」の最初の句「何度でも『はじめまして』を言いたくて」を考えた人。1968年生まれ。歌人詩人小説家エッセイスト結社同人には所属しない。阿佐ヶ谷「枡野書店」店主。

1993年生まれ。岡山県出身。「かが屋」というコンビ名は、自分の名前「加賀」と相方の「賀屋壮也」から。趣味が又吉直樹の影響で始めた自由律俳句と短歌。本も出している↓。

「芸人短歌」は芸人の仲間たちの短歌をまとめた合同歌集。

枡野浩一さんの時のテーマは「あなたへの手紙 かなたへの手紙」、今回の題は「はじめまして/こんにちは」。


◎入選9首

★隣、いい ? まだ青かった僕たちは「はじめまして」も照れくさかった 大阪府大阪市 間之口葵一

    ↑ 特選三席。

★紺色のひだスカートとブレザーの四月の私に会う試着室 愛知県一宮市 水川 怜

★憧れの人に挨拶するだけで花咲くように満たされていく 愛知県豊橋市 鈴木るい

★そこそこにながく生きてもまだときにはじめましてのわたしに出会う 富山県高岡市 星川郁乃

★靴下の穴から指がこんにちは傷つく場所は決まって同じ 東京都練馬区 寺澤知世

★最後まで責任持って飼うなどと思う間もなく拾い上げてた 東京都東村山市 藤本くま

★「歌という手紙たくさん読んだからはじめましてじゃない気持ちです!」 埼玉県鴻巣市 國島智香子

    ↑ 特選一席。

★あなたからはじめましてを三回も言われた僕に原因がある 山形県山形市 山本康平

    ↑ 特選二席。

★「母です」と紹介されて母の顔あわててつくる夜のコンビニ 青森県鰺ヶ沢町 番場陽子


入選歌及び佳作は「NHK短歌テキスト」6月号に掲載されます。次回、枡野さんへの投稿は ↓

◎「改悪添削」わざと改悪して原歌の良い所を引き出し強調する試み。

★(原歌)リアルでは初めてお会いするけれど「はじめまして」というべきやろか 埼玉県坂戸市 桑野 豊

    ↓ (「改悪」)

▼リアルでは初めてお会いするけれど「はじめまして」というべきなのか


    なるほど、これはこれでいい訳なのだが、原歌で方言を敢えて入れたところに味がある。心の中での言葉は、普段自分が使っている言葉。またそれをそのまま短歌に入れたことにより、作者がその方言の地方の人だとわかる。(でも作者は埼玉県の方、本当は「言うべきだろうか」とか言っておられるのではないでしょうかね)。

▼はじめての町には人が多くおり「無事だよ」とだけ親に返信 


    こちらは「改悪」の方。「はじめての町には人が多くおり」からは、結構疲れているという感じがあり、それでも親に心配かけないように「無事だよ」と返事を書いた。親が先に「大変だろうね」と書いてよこされたのでしょう、その返事。

原歌は ↓

★はじめての町には人が多くおり「春だわ」とだけ親に返信 北海道室蘭市 堀 優季奈


    こちらはダイレクトに「無事だよ」と返事したのではなく、親の心配事を遠くに押しやるような返事をした、ということではないでしょうか。


◎ゲストの加賀翔さんの短歌。

★方言が抜けてしまったその穴に埋まった「じゃん」を褒めてくれたね 加賀 翔


    ※加賀さんは岡山県出身。たまたま岡山弁が出なくて東京でよく使われる「じゃん」を使ったのでしょう。それが意外と受けて褒められたのでしょう🤗。


◎ことばのバトン

   ↓(引き継ぐのは東京農工大学短歌会のほきゅみさん)

ほきゅみさんはコミュニティ放送(stand,fm)で番組をされているとの事(FM府中87.4Hz 毎週水曜18:30-19:00)。短歌の話をしない短歌番組だそうです(?)、😉。
◎再放送は、5月2日(木)午後2:10〜午後2:35。