4/22長崎新聞郷土文芸(2)ジュニア俳壇・歌壇、他。

◎ジュニア俳壇 江良修選

★(秀逸)卒業や春休み中何しよう 佐世保・東明中3 前田凛桜 

 (評)卒業後、気が抜けてしまうことがありますね。率直な気持ちの表現。

★節分や妹たちに豆投げられる 東明中3 前田一輝

★豆をまくみんな合格できるよう 東明中3 井手千陽

★豆まきで家がにぎわう福が来る 東明中3 原 匠汰

★新しい気持ち芽生える春一番

パパの鬼今年も本気で豆なげる 東明中3 小橋心希

★雪ふるとみんなが騒いで溶けていく 東明中3 稲田海恵月

★夜の雪明日の朝が楽しみだ 東明中3 鴨川史門

★最後まで泣いて笑った卒業式 東明中2 豊村惇矢

★卒業歌最初はバラバラ最後は一つに 東明中2 田中芽生

★最後の日静かに泣いた卒業生 東明中2 村上ののか

★卒業式歌声響く空の下 東明中1 村上由空


◎ジュニア歌壇 杉山幸子選

★(秀逸)なんとなく捨てずにいられた「アポロ」のゴミ弟がくれたからかもしれない 佐世保・日野中2 冨田彩貴 

 (評より)お菓子のアポロをくれた弟。その空き箱を大切にしていた姉。

★(秀逸)粉雪が降り積もった冬の朝子供の声が耳にきらめく 佐世保・東明中1 富岡瑚遥

★毎日がピリつくような教室だ受験シーズン重い緊張 東明中3 山田裕史

★春の空見上げた先に浮かぶ星澄んだ夜空に輝く宝石 東明中3 永田柚季

★鬼仮面怖がっていた幼い頃鬼の正体分からぬままに 東明中3 樋口さくら

★スーパーへ稽古帰りに夕食と家族におくるチョコレート買う 東明中3 江島結子

★鬼は外福は内と豆まきを投げた豆はどこへ消えたか 東明中3 松尾真幸

★入試まで残り何日カレンダー赤の斜線であせりうまれる 東明中3 前田凛桜 

★バレンタインチョコを信じて疑わぬ僕の気持ちはセリヌンティウス 東明中2 山口 奏

★大好きな君と話す十分間いつかこの時間永遠にと思う 東明中2 田中芽生

★恵方巻きしゃべらず食べるの寂しくて動きで会話つい 笑っちゃう 東明中2 福田菜穂

★いつも思う豆まきしないと鬼が来る ? 待ってみようか鬼が来るまで 東明中2 久保田李珀

★友達と作戦会議慎重についに明日だ緊張するな 東明中2 嶋原朱里

★あの人と毎日会う度うれしいが目があっちゃって私が避ける 東明中2 富田かんな

★三年生桜の咲きたる木の下にあの背中ほどたくましいものなし 佐世保・祇園中2 野田 隼世 

★クラス替え「またこのクラスがいいんだなぁ」去年も言ってた気がするなぁ 祇園中2 丸山大樹

★はだ寒い風がふくなか太陽の黄の光さす窓のそと 祇園中1 田口結菜

★にぎやかな朝の時間をまちわびる桜の花の開花宣言 祇園中1 竹内奈穂

★私たち卒業式でプレゼント聞いてください「旅立ちの日に」 祇園中1 古瀬蒼乃

★昼休みボールを止める君がいる我の思いも受け止めてみて 佐世保・崎辺中3 要谷光咲

★吹奏楽皆で奏でた交響曲(シンフォニー)忘れはしない煌めきの夏よ 崎辺中3 浦川未来

★お別れだ慣れ親しんだ校舎とも胸に刻んだ希望や決意 崎辺中3 槇尾悠希 

★澄み渡るあの感動をもう一度相棒と共にあの瞬間へ 崎辺中3 今井凌平 

★学び舎の窓から見ゆるみどりあお時に鳥の音響き渡りし 崎辺中3 井手日菜多


◎グループ作品

(波濤佐世保支部)

★根性の花にてあらむ石垣の隙に芽生えし菜の花が咲く 末吉英子

★筆先に墨をふくませ走らせる 半紙に向かうこの清謐よ 富永徳子

★四年間たづね得ざりし古里があたたかく吾をつつみてくれぬ 清田せつ子

★親不孝遅まきながらごめんなさい母の思いが今ならわかる 藤戸敬子

★越えむとし越えざるままの橋いくつわが来し方におぼおぼとあり 下田秀枝

(よしきり句会)

★鶴帰り無窮の紺の空残る 吉岡乱水

★踏まれてもしたたかに這ふはこべかな 川添早苗 

★涅槃会や襟元ただす僧侶たち 詩狩 青 

★わずかなる日向に集ふ寒雀 中野靖則 

★雨しとど大地揺るばせ寒の明け 東内美智子 

★見渡せば色なき里春寒し 樋口千代

(葵の会)

★透けて見ゆ泳ぐ小魚浦のどか 古賀昭子 

★見慣れたる街々俯瞰春の山 小濱千鶴子

★春光や遥かに望む五島灘 山口ますみ

★野に遊ぶひと日や友のありてこそ 森 百合子


◎「短歌(うた)ありて」

★雨がっぱ車椅子ごと着せられて母は春の嵐の中へ出でゆく 平山和美

 待ちわびていた春は「春一番」の嵐を伴って訪れる。今年は彼岸が過ぎても風雨の日が多い。そのような日の朝、デイサービスなどに出向かれる母上であろうか。雨がっぱを「車椅子ごと着せられて」のフレーズに、遠き日の父の姿が重なり、 思わず涙ぐんでしまった。両手をきちんと膝の上に置き、介護スタッフの方に手厚く付き添われ、「春の嵐の中」へ出てゆかれる母上を想像してし まう。そしてその後姿を見送っておられる作者の温かく切ない思いが静かに伝わり、母上への愛が凝縮した詠だと思う。長崎新聞カルチャー・現代短歌の作品より。(歌の実・山里和代)

★わが病やうやく癒えて心に染む朝の経よむ穉等(おさなら)のこゑ 斎藤茂吉

 1920年、長崎医専教授だった茂吉はスペイン風邪にかかり、50日近く病に伏した。日本でも38万人が死亡したが、第1次世界大戦の最中、特にド イツ軍で広がり、敗因の一つとなった。パリ講和会議では、独り賠償金に反対していたウィルソン米大統領が、スペイン風邪にかかり体力も気力も奪われて意見を通せず、多額の賠償金が課された結果、その後のヒトラーの台頭を招き、3年後留学した茂吉が「行進の歌ごゑきこゆHitlerの演説すでに果てたるころか」とうたうことになる。さて、新型コロナウイルスは歴史にどんな爪痕を残すだろうか。(やまなみ・山本博幸)


◎過日行われた春季俳句大会の結果が大きく報道されていました。

詳細は当ブログにて既に投稿致しております↓。

・4/14(長崎県)春季俳句大会(1) 事前句の部。

https://ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12848519041.html

・4/14(長崎県)春季俳句大会(2) 当日句の部。

https://ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12848519802.html


※(3)「きょうの一句」一週間分、へ続きます(次ページ)。