◎俳句 星野椿選
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★婿養子二代続いて雛の家 小郡 赤坂郁子
【評】この家の繁栄ぶりが窺える。二代も優秀な婿養子を取って家業を立派に継いでいることに家族の誇りを感じる。女系家族の命運と言おうか、立派な婿に囲まれて幸せ。
★椅子を出す玄関前の桜かな 久留米 木下雅子
【評より】大木の、この家自慢の桜。花見の準備にまず玄関前に椅子を出す。この家の主が座ってお花見が始まる。
★蛤の泥吐く真夜の台所 対馬 神宮斉之
★桜東風浪間切り裂く島渡船 福岡西 重石活郎
★帰郷して継ぎたる祖父の草餅屋 宗像 川口茂則
★山門に入るを許され大花見 大野城 荒木信夫
★様変りしてもふるさと彼岸道 太宰府 入江眞己子
★川風に吹かるる蝶のたどたどし 小郡 楢崎まさ子
★石鹸玉思いは遠き娘の許へ 糸島 宗 久翠
★涅槃絵の掛けあるままや僧の逝く 唐津 浦上房子
★花筏割って棹さすどんこ舟 福津 藤吉靖信
◎俳句 秋尾敏選
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![](https://stat.ameba.jp/user_images/20240416/21/kawaokaameba/c1/88/j/o1044108015426780041.jpg?caw=800)
★翼竜の犬歯の化石風光る 佐世保 牛飼瑞栄
★うららかや牧羊犬の日曜日 対馬 神宮斉之
★猫の仔のたぶん名無しで生きてゆく 小倉北 岡田成司
★休日出勤ワイパーの掃く忘れ霜 有田 栗山愼悟
★山笑ふその懐の無人駅 福岡博 奈良崎博秋
★老兵は死なず残花の下に酌む 大野城 荒木信夫②
◎短歌 栗木京子選
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★通販の誕生祝いの値引券あまた届きたり我が秘密流る 福岡早 宮村美千子
【評】値引券が届くのはありがたいが、考えてみると生年月日などの個人情報が知られていることになる。結句の状況から危機感が伝わる。
★風呂の湯で牛乳びんをあたためたとおき日の父思う冬の夜 古賀 下田 緑
★角打ちに世間話もそこそこに二杯ひっかけ友とわかれき 八幡西 寶満光保
★わが町に若き家族がやって来た門灯の下三輪車光る 小郡 中島俱子
★文化祭部活の今を知りたくて輝く目をした後輩に訊く 筑紫野 桂 仁徳
★大濠の老樹桜を見に行かむ夫と行けるはいつまでのこと 春日 井上真木子
★半導体の熊本の地は大沸騰時給三千円の会社もあらわる 大野城 高名 稔
★ハンカチに刺しゅうをしている娘の手何だかとても大人びていて 福岡南 真木聡恵
◎短歌 伊藤一彦選
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