4/16読売新聞地域文化欄(短歌、俳句)及び佐藤文香さんの俳句あれこれ④。
▼読売新聞地域文化欄(短歌、俳句)
子どもらは地域の宝・国の宝大人が変はれば子どもも変はる 古賀セイ子
★日めくりのカレンダーが欲しいこれからのひと日ひと日は無駄には出来ぬ 江川幸生
★この頃は散歩が楽し一時間ひとり歩けば小鳥に出会う 川本知葉
★肺という袋小路にタバコ吸う人見て思う良いはずなしと 藤林東容
★土は焼かれ器となりて命を得ひとは焼かれて土に還るなり 山本博幸
★街中に出で来る熊はストレスをかかえると聞く時雨降る日に 花岡壽子
★今年こそと八十路の夫のスマホデビュー武骨な親指文字探しいる 本多たつみ
◎短歌2 波濤
★被災地に身を寄せ合ひて健気にも生きるを見れば涙止まらず 上西悠史
★懸命の救助のつづく被災地を風雨よ雪よよけて過ぎ去れ 堤 のり子
★木枯らしの吹き抜けとなる府中道かえで落葉が渦巻き流る 村田忠和
★亡き父母の結婚記念樹なる桜百年を越えて庭いっぱいに 川野浩一
★あの時が別れとは知らず家を出て戻りこぬ夫 三月の旅立ち 甲斐智子
★久々の休みにスナップ豌豆と菜花をゆでてミモザも飾る 真下和枝
★授業終へ黒板前の段差よりストンと落ちるなさけない足 吉井ゆかり
★尋常にあらぬ痛みに呻き上ぐ CTで肋骨の折れの見つかる 下田秀枝
◎俳句1 太白
★三井楽の枯野は海に果てにけり 佐々木光博
★潮の香を満載にして牡蠣届く 外輪ふみえ
★被災地の安寧願ひ春を待つ 辻田祥子
★お降りや静かに光る石畳 東内美智子
★往診の鞄の中の海苔むすび 後藤耕平
★探梅の白一輪にある日差し 樋口千代
★おしやべりにお酒はいらぬおでん鍋 薗田 桃
★丸き背に霰を載せて猫帰る 本田常子
◎俳句2 高砂句会
★雛あられ供へ仏間の賑やかに 飯野美子
★野っ原を行きつ戻りつ蕨摘む 黒木陽子
★料峭やベンチに残る缶コーヒー 高濱啓子
★メイドインジャパンのははの春コート 野口千恵子
★落ちて尚鮮やかなりし椿かな 今村みつ江
★花ミモザ軽やかに風受け流す 久田洋子
★菜の花や坂道多き通学路 崎元美喜子
★二輪車に降り口ひとつ花菜風 横田弘子
◎俳句あれこれ 佐藤文香さん④
月に一回、ちょっと変わった句会をしている。その名も「悟空の会」。
三橋敏雄の弟子にあたる中村裕さんと遠山陽子さん、孫弟子の私という三人で2014年の11月に始めた。裕さんが亡くなられて淋しくなったが、新たに鴇田智哉さん・福田若之さんをお迎えし、2018年に新体制となった。
各自その月につくった20句を配り合い、ほかの三人の20句ずつからそれぞれ5句選ぶ。
普通の句会であれば、誰の句かわからないように作品をランダムに並べた一覧にするが、私たちはお互いの作風がわかっているから、作家ごとに絶対評価で選句をする。
自作について的確な意見を聞くことができ、ほかの三人の最新作が読める贅沢な句座である。
★さくらさくら逢はぬ日の尾がまた伸びる 遠山陽子
悟空の会もコロナ禍ではオンラインで続けたが、私はやっぱり逢って話すのが大好きだ。