4/8長崎新聞郷土文芸(1)俳壇・歌壇・柳壇。

◎俳壇 高永久子選

★振り向けば振り向く人や桜狩 大村 平松文明

★手繰る子を武将の睨む唸り凧 長崎 辻 耕平

★長閑さや水平線は目の高さ 佐世保 相川正敏

★春の川岸辺の景色揺らしをり 五島 田中裕子

★川底の青き硝子や春兆す 長崎 入口弘德

★駒返る萱のひともと暗渠口 長崎 立木由比浪

★ひざ掛けの上に黒猫春の雨 長崎 入口靖子

★手作業の枇杷袋がけ一つづつ 諫早 藤林東容

★くるぶしの白き娘や磯遊び 西海 田川育枝 

★鷹鳩と化して翁の皺深し 島原 林 倫子 

★戸を叩き漁は休めと春二番 松浦 永淵勝幸 

★身になじむ母の形見の春給 島原 福本勝子 

★啓蟄や園児散歩の弾む声 長崎 三宅三智夫 

★ランドセルのいくつかの傷卒業す 佐世保 森 誠

★春泥を来て肉球を押す廊下 長与 三河祥子 

【選者吟】通草咲くこの径をなほ好きになる


◎歌壇 立石千代女選

★外す実に詫びつつ枇杷の袋掛け同じ思いか歌選ぶのも 雲仙 宮崎秋雄

★やむを得ず左指のリング外すときまた一つ減る亡夫との絆 長崎 渡辺英子

★亡き母の居間の遺品の琴に座し父奏でいる今日は母の忌 佐世保 小山雅義

★渡りきし旅路の疲れあるだろに燕いそいそ古巣の手入 雲仙 前田晴男

★コンクリの薄い地面を掘り返す重機の先に見える早緑 長崎 志方雅一

★彼岸にて赤き胸当替へおればお地蔵さまは微笑みておはす 佐々 山本久子 

★甘党の兄の忌なれば団子など供え偲びぬ春浅き朝 長崎 徳永喜代子 

【選者詠】春潮の満ちる川面をふるはせて黄の一輌が鉄橋わたる


◎柳壇 永石珠子選 題「手」

★手を合わす祖母は語り部原爆忌 大 村 林田敏隆

★飢餓の子へ世界中から慈愛の手 長崎 西畑伸二

★両の手を額に母の検温器 佐世保 八重野さくら

★制服へ夢を託して手を通す 大村 宮園千鶴 

★手を翳し核の愚を説く平和像 長崎 丸田和男

★両手挙げかけ寄る孫を抱きしめる 諫早 畑中朋子

★大村寿司手慣れた義母のおもてなし 長崎 森本志真子 

★休みなく働く母の手を偲ぶ 長崎 内田美恵子

★手仕事の良さを見直す物作り 諫早 鳥巣律子

★何十年手書きの年賀卒業す 佐世保 山本絹代 

★母の肩揉んで負んぶを思い出す 諫早 江口正昭 

【選者吟】一手一手にカウント迫る将棋盤


◎ジュニア俳壇 江良修選

★春障子ゆらりと写った猫の影 佐世保・祇園中2 新野絵菜

★卒業式快晴に響く笑い声 祇園中2 進 千咲

★卒業の思いがひびく体育館 祇園中1 大橋由奈

★春風はいつも私を前におす 祇園中1 田代こころ

【選者吟】万感の顔・顔・顔が入学す

 

◎ジュニア歌壇 杉山幸子選

★白い部屋私の心に染まる色一人になりたいふと思いたり 佐世保・東明中3 赤木愛音

 (評)自分の心の中の部屋は私色に染まる。みんなの中にいるときも私は私。心の色を大切に。 

★最近はよく言われてる反抗期私もずっと良い子じゃないよ 東明中3 古川桔梗

★受験の日風花降りし美しく我が久遠の記憶となりし 佐世保・崎辺中3 片桐愛夢

★給食は午後の体力チャージなり満腹なりと心も満腹 崎辺中3 森永尋稀

★給食は心と体のケアラーだ日々感謝していただきます 崎辺中1 泊 怜志 

★将来の自分を決めるこの時間残りの人生十五で決めろと? 東明中3 福本安純

★疲れた日ぼくの体はまっすぐだ横になったらそのまま寝そう 東明中3 山田日陽

★問題の解答用紙の一文字に力を入れて願いを込めて 東明中3 松尾真幸 

★授業中睡魔が襲うどうしよう目はあいているが頭は寝てる 東明中3 松尾紗季

★努力して必死に学び挑む中埋まらぬ空白見つからぬ答え 東明中3 山田裕史

★偏見で物事決まる今の時代もっと中身をよくみてほしい 東明中3 宮原彪雅

★悩みごと絶えることなく常にあるでもこれこそが十五歳なんだ 東明中3 小橋心希

★友達と家族といても苦しいまま一人が心地よい十五の冬は 東明中3 熊谷佳恋

★両親も私の思考はわからない「読んでみたいわ」電子書籍で 東明中3 楠本いろは

★今の自分自分の気持ちを押し殺し出してる自分仮面つけてる 東明中3 井手希夢

★受験生この五文字からしばられた一年間も残りわずかだ 東明中3 坂本安音


※これより以降は、またページをあらためて投稿致します。

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