俳句ポスト365、兼題「余寒」の回の結果(中級者以上)、月曜日「類想」

◎類想についての夏井先生のコメント(要約)

◆基本的なこと→「春寒」「冴返る」は、別の独立した季語。 

 入力ミスなのか勘違いなのか、「夜寒」が三十数句もあり。

 「余寒」を「よさむ」と読んでいる人も一定数いた。

 コメント欄の中に、「よさむ」とルビを振っているケースもあった。

 「余寒」は三音の季語なので、「余寒風」「余寒雲」「余寒晴」のような使い方をしている句もあった(無理に五音にした感)。

 下五を「余寒かな」と詠嘆した句が相当数あり。中七で調べが滞っているため、「かな」の詠嘆が効いていない句がかなり目についた。五音にしたいからなどの理由で無理すると失敗する。特に「かな」の詠嘆に関しては、心して遣って頂きたい。

◆類想のパターン

・イメージ、連想→凛とする、光(明るさも)、旅立ち

・寒いので→灯油や冬物の服を仕舞えない、なかなか起きられない、何かするのをやめる(外出とか水仕事とか)、毛布や布団をまた一枚かける、厚着をする、懐炉を貼る、温かなものを食べたり飲んだり、(温かな)カップを両手につつむ、首をすくめる、手を擦る、手を繋ぐ、寄り添う、傷が疼く、足早になる、帰りを急ぐ、足踏みしながらバスや電車を待つ、夜中にトイレ、古傷が痛む

・気温が低いので→いろいろなものが「堅い」「硬い」(風や声やチョコや生地や塩などなど)、蕾がほぐれない

・その時期は→昨日の節分の名残、豆が落ちている、受験シーズン、合格や不合格の報せ、卒業 卒論 異動 別れ、そろそろ杉花粉が…、バレンタインデーのチョコ  

・春の予感→恋の予感(失恋、別れの予感も)、子供の成長 

・悲しみ→震災の地の余寒、能登地震、黙祷、訃報、葬儀、故人を想う、検査を受ける、入院、余命

・余寒の街→ショーウインドーは季節の先取り 春の色、錆びた看板、シャッター街、閉店、空きビル、空き家の庭

・猫…→(寒いので)猫が布団に入ってくる、くっついてくる、縁側で猫が丸くなっている

・余寒はここに→部屋の隅、廊下、指先、足元、〇〇へ行く途上

・その他→〇〇が余寒を纏う、〇〇に余寒がまとわりつく、余寒でも子供は元気、余寒の風の荒さ、~に一人、孤独

◎今回、中級者以上への投句数3863句、投句人数1642人。

◎以下、類想句一覧より抄出。

★子等帰る部屋の四隅の余寒かな 蔵原貢次郎

★余寒なお駅頭で子の帰り待つ 熊本与志朗

「サクラチル」余寒の駅にただ一人 からすちゃん

固き芽のもどかしげなる余寒かな 杉岡ライカ

★猫たんぽ膝に漱石繰る余寒 小西 天

神経痛またぶり返す余寒かな 境内集

うづく膝なだめてゐた余寒かな しおやま句吟子

早朝に布団取り合う余寒かな 円谷琢人

午前十時の上着を迷ふ余寒 ひでやん

能登を刺す余寒や余震また余震 佐藤浩章

頬を打つ風の硬さや余寒なほ 安田蝸牛

人工の関節痛む余寒かな 空郷阿房人