3/17日NHK短歌 選者は吉川宏志さん、ゲストは梯久美子(ノンフィクション作家)さん、司会は尾崎世界観さん。

【梯 久美子さん1961年〜。ノンフィクション作家。熊本県生まれ。5歳から北海道札幌市に育つ。父は陸軍少年飛行兵学校在学中に敗戦を迎え、戦後は自衛官北海道大学文学部国文学科卒業。1984年サンリオ入社(編集者)、1986年退社し編集・広告プロダクションを起業。2001年よりフリーライターとして「AERA」などにルポルタージュを執筆。丸山健二のすすめで執筆した「散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道」でノンフィクション作家となる。2014年から大宅壮一ノンフィクション賞選考委員。2019年秋より札幌市に帰住。

吉川宏志さんの週のテーマは「実感的表現力アップ」、今回(最終回)のテーマは「批判するまなざし」。例歌↓

★いじめるのが巧い男が上に行く組織とは何か背の冷えて去る 吉川宏志


◎入選9首 題「組織」


★吸い物にお湯を注げば下っ端の本音のような麩が浮き上がる 宮城県石巻市 岩倉 曰
★高野川を挟んでスピーチの特訓あり先輩右岸新人左岸 茨城県守谷市 久保田洋二
★芋掘りの園児の指が少しずつ陽にあててゆく地下の組織図 東京都八王子市 たんかちゃん
★派遣われの机とばして置かれゆく社員旅行の集合写真 長野県長野市 原田浩生

 ↑特選三席。

★組織図のどこにもいないわれの名をお客さんだけが覚えてくれた 奈良県大和郡山市 大津穂波

★退職する人とおんなじ花束をもらい今日から産休に入る 東京都目黒区 深影コトハ

 ↑特選一席。

★日曜の社内チャットに「就業」の緑のマークを数へをりたり 福岡県福岡市  犬山裕之

★お向かいのにいちゃんのことを「先輩」と吾子は呼びだす四月になれば 大分県佐伯市 勇希

★「船の音ここまで届くもんだね」ともうすぐ辞める 職場の人が 鹿児島県鹿児島市 佐藤 橙

 ↑特選ニ席。

 入選歌及び佳作は「NHK短歌テキスト」5月号に掲載されます。次回の投稿は↓

次回投稿写真

◎「入選にあと一歩」

★わが検査課の合否に不服ありとしてのりこんでくる塗装課の群れ 富山県高岡市 奥 武義

 ↓(添削)

★検査課で決めし合否に不服だとのりこんでくる塗装課の群れ

  

  ※「わが」を取るだけだと思っていましたが、結構変えられましたね。


◎「表現の最前線」

★若きらが親に先立ち去ぬる世を幾世し積まば國は榮えむ 半田良平


 ※半田良平さん(1887〜1945)栃木県出身。宇都宮中学在学中に下級生の千葉省三と親交を結び、短歌欄の投稿を通じて松村英一植松寿樹らと知り合い、窪田空穂を中心に結成された十月会に参加。旧制二高を経て東京帝国大学英文科を卒業。大学院に進学するも、現役補充兵として召集され退学。その後、空穂主宰の短歌結社である「国民文学」の中心的人物となり、中学の英語教師のかたわら短歌評論などを多く書いた。1914年に結婚し、3男2女をもうけた。3人目の男子のサイパンで戦死。男子は良平より先に亡くなっている。没後刊行された『幸木』で1949年、日本芸術院賞を受賞した。

○梯さんの著書散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道」より。玉砕直前に本部に送った電報に残された短歌。


★国の為重きつとめを果し得で矢弾尽き果て散るぞ悲しき

★仇討たで野辺には朽ちじ吾は又七度生れて矛を執らむぞ

★醜草の島に蔓るその時の皇国の行手一途に思ふ


◎「ことばのバトン」

写真(声が

(声射す鋼(はがね)宿せし心根に)  

 ↓(引き継ぐのは、クルド人で現在日本の大学の大学院に留学しているイランのラッパー。


◎今年度のNHK短歌は、「大河とコラボの短歌」だそうです。

◎再放送は、3月18日(月)午前6:20〜6:25。