3/10NHK短歌。「なぜか忘れられない人」選者は山崎聡子さん、ゲストは中野信子(脳科学者)さん。山崎さんの最終回。

1975年東京都生まれ。東日本国際大学特任教授、京都芸術大学

客員教授、(株)ビッグベン所属。MENSA元会員。旧名は原信子。医学博士東京大学工学部応用化学科、同大学院医学系研究科医科学専攻修士課程、同博士課程修了。


◎「伝えられなかった思い」今回は「なぜか忘れられない人」がテーマ。例歌↓

★牛の目玉の水晶体を手のひらで光らせていた教師よ、射光 山崎聡子


◎ゲストのつぶやきを短歌に

磯村暖君の作った豚汁を食べる 生姜が強く額の骨に響く 野菜の感触がくっきりしていて 味は薄味 生きものを食べている感覚が 濃かった これで私はまた 生まれ直しをすることに なるのだろうか

  ↓

★奪っては生き存らえるこの生に獣の匂いのスウプ分け合う 山崎聡子


◎入選9首

★肖像画互いに描き合う授業にてわが顔の痣描かざりし友 北海道札幌市 しなもん

 ↑特選ニ席

★にんげんのこころはたぶん青いよ、と言ってた子の絵いまも脈打つ 埼玉県上尾市 佐藤研哉

★お土産のスノードームが好きだった水が濁ってしまった今も 東京都杉並区 飯盛のぞみ

★眉毛だけ描いて深夜のタクシーに飛び乗る切り傷は小さく見える 東京都 牧野 冴

★若き日の母が泣いてる白生地に紫の花散らした寝巻きで 神奈川県川崎市 伊従 あゆみ

★恋愛は特になかったひとと夜、溶けてなくなるように歩いた 新潟県新潟市 砂崎 柊

★眼鏡下げ胸の底まで見るような今はもうない本屋の店主 兵庫県西宮市 藤平 怜

★さう、確か深爪だったホスピスの亡母(はは)に装束着せくれしひと 岡山県岡山市 東 真理子

 ↑特選一席

★ぬばたまの黒髪揺らしつみつる君ばかり当ててた古典の先生 徳島県上板町 本那榮子

 ↑特選三席


入選歌及び佳作は「NHK短歌テキスト」5月号に掲載されます。次回の投稿は俵万智さんへ↓

◎中野さんの短歌

★まどひける吾(あ)にしるべせしとつくにのうるわしきひとのほほえみめぐし 中野信子


◎ことばのバトン

   ↓引き継ぐのは、浪曲師・天中軒すみれさん

平成5年神奈川県茅ヶ崎市生まれ。大学在学時、西洋音楽も邦楽も好きだったが、生の浪曲を聴いた時に、自分のやりたい熱い声の表現だと直感し浪曲師の道を志すことを決意し平成30年入門。

◎再放送は、3月15日(金)午後2:10〜午後2:35。