「俳句文学館」⅗号に、フェイスブック友達の大関博美さんの著書『極限状況を刻む俳句』(コールサック社)が、第38回俳人協会評論賞を受賞された、と載っていました。

 私も一度、長崎新聞に取り上げられた時に少し触れたことがありますが↓

9/18長崎新聞「郷土文芸」(4) 「あわい」欄、「俳句はいま」

https://ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12820987416.html

今日は「俳句文学館」の⅗号に載った記事から、大関博美さんのご著書に関するところを抄出してみたいと思います。

《『極限状況を刻む俳句』は、ルポルタージュ的ではあるが、作者の強い思いと意欲が伝わり、内容的にも後世に残したい一書である。全員が一致して『極限状況を刻む俳句』を上げ、受賞作と決定した。》(佐怒賀直美氏)

《『極限限状況を刻む俳句』は、シベリア抑留の体験を語らぬままに亡くなった父を理解するために、歴史書や体験記を渉猟し、極限状態で詠まれた俳句を考察したものである。明確なテーマを設定し、篤実な調査を重ねており、 一書としての統一性という点で優れていた。本書からは、苛酷な体験を記した俳句を通して、戦中・戦後の時代をたどろうとする強い意気込みが感じられた。誠実で熱心な取り組み姿勢が窺われ、大関氏のさらなる活躍が期待される。》(坂本宮尾氏)


《『極限状況を刻む俳句』は、太平洋戦争の歴史、体験談等を踏まえ、抑留俳句の生み出された極限状況に迫ろうとする意欲作。資料的な価値もある。》(荒川英之氏)


《『極限状況を刻む俳句』(コールサック社)は、世界大戦後のソ連(シベリア)抑留者と満州引揚者の俳句を通じて、元兵子の悲惨な実態を探った労作である。ソ連抑留者の俳句研究では第十六回評論賞の阿部誠文著『ソ連抑留俳句 ― 人と作品』もあるが、ロシアのウクライナ侵攻など不穏な現代社会の不条理を思えば、時機を得た好論文と言える。日清・日露戦争から筆を起こし、抑留者約五十七万人という遠因を探った。過酷な抑留で死に顔そっくりで帰還したという父(故人)に代わり、多忙な看護師生活のかたわら資料を集め、多数の遺族や出版社の協力も得て、本書をまとめた熱意も高く評価したい。》(田島和生氏)


《評論賞として『極限状況を刻む俳句 ー ソ連抑留者・満州引き揚げ者の証言に学ぶ』を推した。著書はルポルタージュ的ではあったが、ソ連抑留者の俳句に対しての真摯な情熱が評価できた。》(仲村青彦氏)

〈大関博美さんの評論賞受賞の言葉〉

ソ連抑留、満州引揚俳句を語り継ぐために 大関博美


私はソ連抑留を語らず他界した父の体験を知るために実相を学び、酷寒や飢え、強制労働や赤化教育から派生する吊し上げなどの四重苦を背負った人々、難民となり困難な引揚を体験した方々の俳句に出会いその実態に衝撃を受けた。

 筆舌に尽くしがたい、死の恐怖、友への鎮魂、平和を希求する思いが俳句に込められており、極限状況における証言としての俳句を次世代に伝えることが私の使命と感じ筆を執った。

 その試みを高く評価してくださった選考委員諸先生に感謝すると共にこれからも、ソ連抑留や満州引揚げの俳句を伝承するよう、精進して行きたい。

 執筆にあたり、取材に協力してくださった皆様、背中を押してくださった筑紫磐井先生、コールサック社、「春燈」の皆様に感謝をお伝えし受賞の言葉としたい。


※大関博美さんについては↓に詳しい。

https://www.cl-shop.com/citylife/ichihara/2023/10/19/45918/

※後日、『極限状況を刻む俳句』に収録されているソ連抑留者の俳句を出来るだけ多く投稿しようと思っています。