¾長崎新聞「郷土文芸」欄「あわい」記事

▼さくらまち短歌教室(講師・馬場昭徳さん。長崎市)第3合同歌集「さくら草」最終刊刊行

 歌人の馬場昭徳さんが講師を務める長崎市のさくらまち短歌教室が、最終刊となる合同第3歌集「さくら草」を刊行した。 

 同教室は2021年4月「いきいき広場短歌教室」を前身に発足、月2回活動していたが、今年2月を最後に閉講。会員の作品を集めて年1回作成していた合同歌集も最後となった馬場さんと会員13人の各24首を収載。


 日常のふとした出来事や気付きが軽やかに詠みこなされている。

★三分を空けてさすよう渡されし二種の目薬 その間の長さ(安達笙子)

★三日間の宿賃ですとかまきりは天井の蜘蛛平らげたりぬ(菊田春子) 

★山登りの夫のリュックに背負われてもみじ葉ひとつ秋を連れきし(酒井恵子)

★相続の話を聴きに公民館へやおら出さるるエンディングノート(鳥田敦子)

★この店に長居できぬと思いつつ伊佐木の煮付ペロリと食べぬ(狭間ヒロ子)

★久しぶりに村上春樹が読みたくて古書店覗けば下巻が二冊(林志郎)  など。


 まなざしの先は、社会の変化へ、世界情勢へと自在に広がる。

★文字通り「文献調査」であるならば交付金出す必要あらず(片岡恵)

★夏去りて戦記の話題遠のきてあの日忘れじ八月また来る(川添和子)

★買う品を少なめにして今日こそと挑みてみたるセルフレジなり(小島茂之)

★黒土の天与の大地に争ふな穀のタネ播かば飢餓なき地球(西修二)

★二ユースではガザの子どもが映されて朝食のパンちぎる手止まる(保坂清子)  など。 


 そして、閉講を惜しむ気持ちも詠み込まれた。

★師と仲間にことばの花束贈ります短歌教室閉じるまでには(石神いつ子)

★歌作りの第一歩より教はりし馬場教室の閉鎖悲しも(納富 美奈子)  など。


 問い合わせは馬場さん(電090・2096・6464) (記事は 犬塚泉さん) 

▼第19回五島列島小中高生短歌・俳句コンクールの入賞作が決定(五島文化協会=清水大基会長=主催)

◎短歌の部 (全投稿数505首)


郡家真一賞】(最優秀賞)

★四時起床漁の手伝い船に乗りふと見上げると満天の星(新上五島町立若松中1 年 瀬崎巧図)


新上五島町教育長賞

★父と祖父船を走らすエンジン音今日も私の朝が始まる(上五島高2年 坪井実結)


長崎新聞社賞

★テスト明け心も空も快晴だ結果はどうあれ僕はやりきった(玉之浦中2年 出口清悟)


野田東三郎賞

★おれミカン落ちてコロコロどこ行こかゆかいなぼうけん始まり始まり(奥浦小5年 尾崎明音)


郵便局長会賞

★牛小屋に朝早くから鳴り響く腹ペコな声元気のしるし(三井楽中2年 田口めい) 


五島文化協会長賞

★白い夜あなたと一緒に星を見る握る右手がカイロのようだ(上五島高2年 入江翔)

★職場での体験中に触れたもの人の優しさ心の温もり(三井楽中2年 荒木由希穂)

★雨あがり僕の心を照らしてる未来へ進む虹色の光(上五島高2年 田村光陽)


◎俳句の部 (全投稿数753句)


牟田口義郎賞】(最優秀賞1)

★電話ごし対馬の父の咳聞こえ(県立上五島高1年 簗瀬俊弘)


内海紀雄賞】(最優秀賞2)

★菜の花の道がつづくよどこまでも(五島市立奥浦小5年 須田瞳依)


五島市教育長賞

★息白しグローブ弾く剛速球(三井楽中3年 中村悠斗)

★きえないで二つかさなる冬の虹(本山小5年 荒木碧月)


長崎新聞社賞】 

★宝船新たな私へかわりましょ(上五島高1年 山下鳳介)

★帰り道ザクザクうたう雪の音(本山小5年 有川日菜)


郵便局長会賞】 

★宝箱開けると空にオリオン座(上五島高1年 鉄川夢津希) 

★雪だるまかわいい手袋つけている(緑丘小6年 木村莉依穂)


五島文化協会長賞

★底冷えの筆先ふるえる美術室(三井楽中3年 杉本小舞)

★きれいだなほうせきみたいあまのがわ(上郷小3年 濱崎依芽花)


 (記事は角村亮一さん)