3/2NHKラジオ文芸選評(俳句) テーマは「東日本大震災を詠む」選者は高野ムツオさん。

◎今回紹介された高野ムツオ さんの作品


★初日受く津波襲来沃野の隅

★原子炉の垂氷初日が潤み出す


◎入選句


★三陸の語り部と立つ春野かな(埼玉県 小田毬藻さん 66)


★下萌や地震の傷痕なほ癒えず(兵庫県 岸下庄二さん 77)


★閖上(ゆりあげ)の展示時計に春はまた(熊本県 島田ユミ子さん 72)

 ※「閖上(ゆりあげ)」=宮城県名取市閖上地区にある震災復興伝承館に、東日本大震災の発生時刻を指した旧閖上中学校の大時計が展示してある。2:46で止まっています。

★逃げ水の果へと続き鉄路跡(東京都 菫久さん 63)

★野水仙津波ここまで来たと言ふ(神奈川県 秋元正さん 76)


★三月の波ひたひたと語り継ぐ(栃木県 山岸修次さん 80)


★標識の「津波ここまで」しゃぼん玉(北海道 中村すじこさん 53)


★波来(はらい)碑の我は語り部冬すみれ(宮城県 小野豊さん 64)

 ※「波来碑」=東日本大震災による津波到達地を示す「波来の地」石碑。宮城県多賀城市八幡。

★畑打つや海を忘るる筈もなく(神奈川県 臼井重之さん)

★帰郷せし家か春灯また一戸(福島県 高橋彦士さん 92)


★てんでんに逃げる訓練春日和(東京都 沼宮内薫さん 72)


★春の虹一度は嫌いになった海(岐阜県 村松陽子さん)


★原子炉を神は創らず春の闇(東京都 齋藤満月さん 61)


★新社員は帰還困難区域の子(東京都 白猫のあくびさん 47)


★屋上の津波の跡の余寒かな(福岡県 松岡由香里さん 65)


◎来週は短歌。テーマ「東日本大震災を詠む」選者は梶原さい子。投稿締切は終わっています。

 16日(土)は俳句、兼題は「石鹸玉」、選者は津川恵理子さん。