2/24NHKラジオ文芸選評(短歌) テーマは「犬」選者は木下龍也さん。


【木下龍也さん1988年山口県生まれ。2011年より本格的に作歌開始。2012年には現代歌人協会主催第41回全国短歌大会にて大会賞受賞。2013年には書肆侃侃房「新鋭短歌シリーズ」から第一歌集『つむじ風、ここにあります』出版、2018年には舞城王太郎岡野大嗣と共著の『玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ』を出版、2021年にナナロク社から『あなたのための短歌集』を出版。2023年、令和5年度山口県芸術文化振興奨励賞受賞。今回紹介された木下龍也さんの短歌↓

★砂浜に大きな耳を描いておく海が歌唱をやめないように

★座礁してはじめて鯨たちは聴くぼくらと同じ渚の音を

◎入選作品


★犬がほしいでも留守番はさみしいかなあいつも留守番している子の言う(東京都 野田鮎子さん)

 )↑今回の木下龍也さんイチオシの作品


★三角の顔が四角に変わる犬春一番の風を嗅ぐ時(新潟県 柳村光寛さん 71)


★老犬を抱いて動物病院へ走った夜が自己ベストだよ(兵庫県 森井恵さん 30)


★一軒で犬飼えば皆まねをしてわんわんわんわん昭和の社宅(茨城県 緑川智さん 86)


★後悔は仔犬のかたち何度でも捨てた気持ちを拾ってくれる(兵庫県 若杉有紀さん)


★輪廻でも何でもなくてポチたちの眠るお墓をポチが見てゐる(千葉県 岡本恵さん 46)


★ひだまりをじんわりからだにたくわえて撫でる私をあたためる犬(宮城県 浅黄かな恵さん)


★不器用な犬なんだけど手を舐めて餌だけ噛んでくれる奴だよ(山口県 中原 紘さん 19)


★世界一しあわせになる捨て犬にしようと思った 出来ただろうか(岩手県 ひと粒の種さん 61)


★参観日みんなが待ってるお母さん私は犬のお母さんが来る(京都府 田中伶和さん 26)


★飼っている犬が白いということを知れて手に触れたような気持ち(栃木県 シラソさん 39)


★この庭で犬が跳ねた記憶としてあちらこちらに鈴蘭が咲く(神奈川県 全美さん)


★だいすきは犬語でなんといいますか抱きしめたなら伝わりますか(東京都 金子 竣さん 27)


★別れたいなら別れるよでもひとつだけ、花火を好きな犬は居ないよ(千葉県 芍薬さん)


★靴と足、それぞれ跡が連れ立ってほとりにのびる初雪の朝(東京都 山下ワードレスさん)


◎来週は俳句。兼題は「東日本大震災を詠む 」選者は俳人 高野ムツオさん。

 3月9日短歌。「東日本大震災を詠む 」選者は梶原さい子さん。締め切りは26日午後11時59分。