2/19每日俳壇・歌壇。
★耕して土黒々とかがやける 八街市 山本淑夫
★霜柱関東平野膨らみぬ 北本市 萩原行博
★梅ふふむ宇宙工学研究所 潮来市 萱原綾川
★寒夕焼け丹沢山塊鋼なす 東京 山口照男
★墓標にはシベリアの文字冬菫 東京 山口治子
★天を衝く甲斐摩利支天桃の花 川越市 益子さとし
(片山由美子選)
★庖丁のよろこぶ音や冬菜切る 平塚市 高橋佳代
★まづメール開いて仕事始かな 神戸市 末永拓男
★お使ひの子にマフラーを二重巻き 和歌山 桑原里美
★借景のビルの高さや浮寝鳥 藤沢市 青木敏行
★空いっぱい路地いっぱいの寒茜 高槻市 黒田豊子
★黒潮の潮目くつきり初景色 和歌山市 福本秀昭
(小川軽舟選)
★三姉妹寄りて七福神詣 佐倉市 木村弘美
★船笛に教会の鐘年明くる 神戸市 松田 薫
★春立てり脈とる女医の腕時計 下野市 石井 光
★神木の大樟仰ぎ年新た 羽生市 小菅純一
★グローブの匂ふ部室や日脚伸ぶ 名古屋市 山内基成
★月はまだ高く残れり初明り 小田原市 林 梢
★小春日や矯正展の文机 狭山市 野田 修
(西村和子選)
★問ひ詰めぬことが良策みかん剝く 加古川市 伏見昌子
★常のこと常にこなして寒に耐ふ 新居浜市 今井 忍
★紅ひきて何処へもゆかぬ久女の忌 熊本市 加藤いろは
★みな声を落して見入る寒牡丹 唐津市 河児紀子
★冬ぬくし午後開店の古本屋 三重 瀬川令子
(水原紫苑選)
★壁の絵がすこし斜めになっていて気付けなかった笑顔の理由 松原市 たろりずむ
(伊藤一彦選)
★「なぜ殺す」アンネがもしも現代に居たら日記に書かむガザ悲劇 札幌市 北の風
★自己顕示欲などと評さずいてほしい真面目だったあのころの僕ら 名古屋市 谷 幹雄
★内定が一人息子に出た棟梁よかったなぁと寂しげに笑む 福岡市 松田 仁
★水仙の気高く香る仏壇に懺悔吐くときムスメに還る 福岡 中村まゆみ
(米川千嘉子選)
★面会は大きなテーブル隔てらる両手を伸ばして指先に触る 京都市 高橋よしこ
(加藤治郎選)
★わたしには孔雀のような羽はなく ただ二度、三度ときみの名を呼ぶ 神戸市 松岡優菜