2/11NHK短歌。題「傷ついたこと」、選者は山崎聡子さん、ゲストは松井玲奈さん、司会はヒコロヒーさん。
山崎聡子さんの年間テーマは「伝えられなかった思い」、今月は「傷ついたこと」。例歌↓
★いちまいのガーゼのごとき風立ちてつつまれやすし傷待つ胸は 小池 光
◎「つぶやきを短歌に」
食べに行ったかき氷が 溶けた状態で出された。よく行くお店だったので 気まずくて言い出せず ドロドロに溶けてしまった氷を食べた。提供されたものが不完全だったことにも 言い出せなかった自分に対しても 心がズキズキとした。 松井玲奈
★溶けきった氷で濡れた口のなか言葉はかたちを持たず流れる 山崎聡子
◎入選歌
★きみ去りて蛾の銀粉に塗れつつわれ半身で生きねばならぬ 埼玉県草加市 伊藤一男 ↑ 特選三席。
★傷付けるよりは傷付けられたがる君を何度も立たせる花野 千葉県市川市 小林董子
★消えそうな声で嫌だと言えたこと火炎のような今日の夕焼け 東京都 紙村えい ↑ 特選一席。
★文字にして記せば傷は薄れゆく終止符をうつ夜の日記に 神奈川県平塚市 青木良子
★傷ついたことなんてない凍てる夜の窓に吊りたい貝殻と羽根 神奈川県横浜市 北入はるか ↑ 特選二席。
★つかまれて傷つけられてつぶされてガザの白桃生卵たち 愛知県岡崎市 兼松正直
★終電の足もとだけの暖かさ中途半端に優しくするな 滋賀県高島市 くらたか湖春
★リビングで寂しげな目をする父に渡したはずの鹿のブローチ 大阪府大阪市 菊地 茎
★母を追い出し父を追い出し四方より壁迫りくるごときこの部屋 奈良県大和郡山市 大津穂波
入選歌及び佳作は「NHK短歌テキスト」4月号に掲載されます。
次回の投稿案内↓(次回から選者が変わります)
◎松井玲奈さんの短歌
★噛みつかれ傷ついた腕すでに癒えいま傍にあるね この温もり 松井玲奈
↑飼い猫のことのようです。その猫は拾ってきた猫で、最初は人に慣れてなくて相当噛みつかれたとのこと。
◎ことばのバトン
引き継ぐのは、群馬県の「みなかみ町牧水会」会長の田村吉廣さん。 元高校教員(物理)。