2/10NHKラジオ文芸選評(短歌)。テーマは「保つ」、選者は野口あや子さん。



1987年岐阜県生まれ。「未来」「幻桃」短歌会。15歳の頃、独学で短歌を始めた。高校(岐阜県立華陽フロンティア高校、19歳)在学中2005年「セロファンの鞄」30首で第48回短歌研究新人賞次席、2006年「カシスドロップ」30首で第49回短歌研究新人賞、2008年岐阜市芸術文化奨励賞2010年に第一歌集『くびすじの欠片』で第54回現代歌人協会賞受賞。短歌朗読ユニット「猫の花」で活動中。笹井宏之賞選考委員、NTTレゾナントとの共同開発「AI歌人」アドバイザー、名古屋芸術大学芸術学部芸術学科デザイン領域文芸・ライティングコース非常勤講師。

 今日紹介された野口あや子さんの短歌↓


★光る君、ひかるしろがねのカトラリー、御簾のうちなるconversation

★good lookingにてあらわれる関西の訛りしたたかな六条の院


◎入選作品


★老い二人トイレ行くのも歯磨きも微妙にずらし平和を保つ(千葉県 石川功さん 73)


★かろうじて保たれている国にいて溶けかけている氷柱を落とす(秋田県 吉行直人さん)

 ↑野口あや子さんの今日のイチオシ作品。


★連絡も通夜も葬儀もごめんねを紛らわすためせわしく過ぎる(福岡県 栗皮さん)


★悪役のプロレスラーがこそこそと募金をしてるコンビニの隅(石川県 竹内一二さん)


★たてがみを戦(そよ)がせている獅子のごと並んでいたりスィーツの列(東京都 富見井高志さん 57)


★商店街ずっと保っている決まり蕎麦屋の啓子に手を出さぬこと(山梨県 森下博史さん 66)


★元気かと母から届く留守電を保湿クリーム塗るように聞く(埼玉県 四之宮光里)


★しろたへのフェイスパックを貼りつけて時間よ止まれ何なら戻れ(千葉県 岡本 恵さん 46)


★小康を保てる母を病室で見守りながらテレワークする(埼玉県 泰源さん)


★天上よ保っておくれ 私たち生命の壺が割れないように(島根県 なしのつぶさん)


★褒め合いを続け敵との距離保つ懇親会の白い戦場(東京都 稲山博司さん 64)


★ぜい肉のコントロールをあきらめた君と死んでも食べ歩きたい(愛媛県 海老沼 夕さん)


★ランナーとの距離を保って伴走者は自分を消して走り続ける(神奈川県 臼井慶子さん 55)


★流されぬように後ろへ蹴る足の止まると鴨はやや流される(神奈川県 小鷹佳さん)


★あと少し自分が自分でいるためにポニーテールをきつく結んで(千葉県 小林麻衣さん 34)


◎来週(17日)は俳句。兼題「公魚(わかさぎ)」、選者は小林貴子さん。投稿は、12日(月)午後11時59分まで。