1/29長崎新聞「郷土文芸」(2) グループ作品、他。

◎「グループ作品」「歌・句誌」より

(「萌」中央公民館句会)

★白障子正座が常の母なりし 野田修子 

(リラの会)

★初東風や出島に高くオランダ旗 山本芳江

★年賀状今年限りの多かりき 鶴田雅子 

★元旦の鳩あそばせて爆心地 阪口晴子

★断捨離は娘が先導大晦日 幸 ひかる

(酔龍句会)

★利き猪口も並べ年酒の飲み比べ 中村龍德

★初荷船着きて島びと活気づく 井原雅胤

★今日からの日記たのしみ福寿草 神崎律子

★肩車せがんで見入る初日の出 宮津寿美香

★嫁ぎ来て注連にこの地の形あり 植村百江

★得意気に七草唱へ粥食ふ子 松尾 綾

★山頂の歓喜の声や初日の出 中村昌生

(佐世保暖流俳句会)

★生かされて生きて八十路の明の春 安岡勝子

★凛と咲ききりりと立ちし水仙花 田村倖一郎

★言葉にもうらおもてかな足袋を干す 城谷麻衣子

★元旦や揃ひし靴の十五足 石丸鈴子

★初釜の衣ずれの音厳かに 川本こう

(翔の会)

★月光へ展きて母の衣たたむ

 前川弘明

★いつも立つ托鉢見えず神の留守 牛飼瑞栄

(西陲10月号)

★分身の手押し車や蝉しぐれ 原 邦子

★夏の日や若い人真似髪括る 西島貞子

(杏長崎11月号)

★身の丈で生きる余生やさんまの値 三宅三智夫

★「あれこれ」のこれに手子 摺る九月かな 岡村洋子 

★市庁舎の四角四面に秋日射す 坂本眞砂 


◎「短歌(うた)ありて」


★遠からぬ死を意識する日々にしててんたうむしの赤がかはいい  田中寿美子

 〜人が普通の生活をしていて、突然大病を発症するのは不運としか言いようがない。

「未破裂の脳動脈瘤ぐうぜんに知りたる日より努めて笑う」

 周りに心配をかけないように、自分自身を支えるために、笑顔を作る。不安な日々の中で、風にそよぐ木の葉にも、小さな生きものの営みにも、心を打たれる。テントウムシには益虫と害虫があって、赤いのはアブラムシを食べてくれるから益虫だという。赤く小さい体で、もじもじと動くさまはな んともかわいい。

 作者とは二度ばかり会ったことがあり、美しく聡明な顔立ちであった。元気にされているのだろうか。 (あすなろ・宮下盛行)


★831083 963369179 94947974 5585385 雨雨雨汰(あまさめうた)

 〜えっ、これも短歌なのかと驚く。数字による、まるで暗号化された表現。原文は縦書き。ルビとして読みが次のように付されている。「闇と病み苦労散々報いなくクヨクヨ泣くなよここはゴミ箱」。これにより意味がとれる。20首詠「暗き階段」の7首目に置かれた歌である。通常表現された他の歌の中の、この強烈な数字の並びに、1首目から読んでみたくなる。それだけでも成功である。心の闇と病気をかかえゴミ屋敷のような部屋で報われずに死んでいった兄。クヨクヨして泣いても仕方がない。この世は皆いずれ死んでゆくゴミ箱のような世界なんだからと。(心の花・井上俊英)


◎「あわい」欄記事

▼第8回富士山大賞(実行委主催)の準大賞に、島原市の歌人、中村縁衣子さん入賞

★青空の中心点は今わたし山頂岩にすっくと立てり 島原市 中村縁衣子


 富士山大賞は、富士山の世界文化遺産登録を契機に創設。実行委の主体はNPO法人富士山自然文化情報センターやNPO法人富士山クラブなど。日本歌人クラブ会長の三枝昂之氏が選考委員長、穂村弘、東直子両氏が選考委員を務めた。

 国内外から約550首の応募があり、大賞1首、準大賞2首な どが決まった。2月4日に東京で表彰式がある。


▼第35回「お~いお茶新俳句大賞」募集(伊藤園)


・締め切り2月29日。

・小学生(幼児含む)・中学生・高校生・一般の部A(40歳未満)・一 般の部B(40歳以上)・英語俳句・新俳句フォト(自分で撮影した写真と俳句の組み合わせ)の7部門。

・新俳句フォト以外は、はがき、ファクス(A4サイズ)、インタ ーネットで1人6句まで応募できる。

・応募部門と作品、郵便番号、住所、氏名、年齢、電話番号、メールアドレス、句会、学校、サークル名(所属している場合のみ)を明記。

・宛先は〒102-8553、東京都千代田区紀尾井町3の23、「伊藤園お〜いお茶新俳句大賞」係。ファクス03・3263・5668。

・問い合わせは電03・3264・4050(午前10時~午後6時、土日祝日除く)。 


▼第17回全日本学生・ジュニア短歌大会(日本歌人クラブ主催)で、本県から3人、奨励賞を受賞


★練習でヒットが出ない梅雨時の僕のこころに虹がかかった(小学生・中学生の部 井上裕貴 大村市立桜が原中3年)


★おとうとは六年生がうれしそう前より背中が大きく見える(同上 出口央祐 同上)


★夏の海照らす夕日は焦がれ色揺れる白波冷える足元(高校生・大学専門学生の部 木内遥香 長崎女子商高2年)


応募数は小学生・中学生の部5752首、高校 生・大学専門学生の部1965首。その中から計241首が入賞した。


(記事は犬塚泉さんでした)


◎句集紹介 倉田明彦著『卵(らん)』

ここの内容は、また後日、読みやすいようにして投稿したいと思います。