1/27NHKラジオ文芸選評(短歌)。

テーマは「轟く」、選者は奥田亡羊さん。

【奥田亡羊さん】1967年京都府生まれ。「心の花」編集委員。現代歌人協会理事(~2021)。相模女子大学早稲田大学講師。朝日カルチャーセンター新宿校講師。篤志面接委員 。本名は尚良(たかよし)。祖父は俳誌「高原」を主宰した口語自由律俳人俳画家の奥田雀草聖光学院中学・高校早稲田大学第一文学部卒業。1991年、テレビ局に入社し、文化・教育番組を制作(2002年退社)。担当番組で佐佐木幸綱と出会ったことがきっかけで、歌誌「心の花」に入会。2001年文化庁「美しい日本語を語る会」評議員。2004年から群馬県少年院で短歌指導を続けている。2005年世田谷区日本語教育特区審議委員として「日本語」教科書の作成に参加。2005年作品「麦と砲弾」で第48回短歌研究新人賞2008年、第一歌集「亡羊」で第52回現代歌人協会賞2018年、第二歌集「男歌男」で第16回前川佐美雄賞2022年、第三歌集「花」で第27回若山牧水賞受賞。現在、「源氏物語」を原語で読んでいる。今回紹介された奥田亡羊さんの短歌↓

★初春のそらに響きてふかぶかと水のはしらは滝壺に立つ

★大股に来たりて春は岩をしぼる絞られて岩、水を滴らす


◎入選作品


★轟音と爆音と阿鼻叫喚は消音にして眠れ字幕で(神奈川県 横浜J子さん)


★ビル街の灯りを消してゆくように夕轟きの雑踏となる(福岡県 レクどんさん  41)


★雷鳴が轟く中へ駆けて行く少年きっと未来に帰る(東京都 稲山博司さん 64)


★轟けばこなごなになる風鈴の以下同文を生きてゆくのか(香川県 優木ごまヲさん)


★袋田の滝を見れずに引き返す轟く音のみ 車椅子の旅(神奈川県 柳澤みゆきさん 62)


★枯蓮が胸で轟くもし君が死ねば世界は速やかに滅べ(千葉県 小林菫子さん 35)


★鰤起し轟く能登に隆起した海岸線の夕暮れんとす(滋賀県 近江菫花さん 60)

 ↑今回の、奥田亡羊さんイチオシ作品。


★旧暦の霜月廿日しき嶋に轟きわたる地震速報(千葉県 佐藤和裕さん 61)


★角栄の大きな嚔が列島を轟いたような昭和と思う(秋田県 吉行直人さん)


★西院といふ路地多き町闇行けばふいに轟く白さるすべり(東京都 中尾亜由子さん)


★能登の海轟く雷に大鰤の大敷網に入る五百本(石川県 HNKAGAさん 64)


★失敗がゆえにけん16番しゅんさんWebに轟きにけり(奈良県 若林明良さん 49)


★天気雨轟くように降ってきて進路調査の第一を書く(和歌山県 桜庭紀子さん)


★のどかなる景にはあらずそばに来て轟音あげる風車仰げば(静岡県 佐藤一央さん)


★スサノオの琴は枯野に轟きて若草あおく一面に萌ゆ(埼玉県 武智しのぶさん)


◎来週・2月3日(土)は俳句。兼題「節分」、選者は小澤實さん。投稿は29日(月)午後11時59分。