1/26山梨新報「しんぽう文芸」山梨の句友、田辺義樹さん報。

◎俳壇山田省吾選

★外人に雪富士見ゆる席譲る 富士吉田 青柳時子

★寒梅の蓄ほころぶ天満宮 甲府 桑原博子

★元旦の静けさ破る大地震 甲府 山下紀子

★劍羽(つるぎば)の際立つ二羽の相寄らず 甲斐 松田健嗣

    ※季語は「劍羽(剣羽)」。鴛鴦(おしどり)の雄の背の両脇にある銀杏の葉の形をした羽。冬の動物季語。

★幹に手を当てればぬくし冬欅 富士吉田 樹 俊平

★寒昴窓際に置く星座本 中央 志田末男

★闇汁のバンカラ自慢白寿翁 甲府 中村 彰


◎柳壇 坂田よし江選

★飽食の中で失う旬の味 富士吉田 樹 俊平 

★政治より天気庶民の味方する 富士吉田 田辺義樹           

  【評より】裏金繕い言い訳をする政治より、暖かい日々が庶民には助け。

★旅に出る希望を探す八十半ば 甲府 丸山洋子

★鍋囲み今日の出来事ほのぼのと 中央 鶴田和彦

★正月も母はやっぱり早く起き 大月 鈴木民生

★真心が心に沁みる贈り物 甲斐 馬場鉄丸


◎歌壇 祢津達子選

★ぽたーん・ぽたーん点滴うけてる左腕心に涙ぽたりぽたりと 甲斐 広瀬香子

★老いなりに形ばかりの鍬始め遣ったでやれた今宵うまい酒 甲斐 松田健嗣

★元日に地震のニュース聞きながら賀状をよむさえこころ苦しき 甲府 高瀬孝人

★寒い朝何時もの野良猫お座りし両手揃えて我を見ており 埼玉 所 富子

★同級の薩摩の男の国言葉一気に戻る青春時代 市川三郷 立川亮子

★三日月の冴え冴えみゆる公園で竹刀の素振り明日は審査日 埼玉 伊藤一男 

★寒暁の牛乳配達で指先の凍えて落としたビンの夢見し 甲府 小林 衛

★めらめらと屋台村が燃えている赤蕪買った朝市輪島 神奈川 望月真佐夫

★初釜に孫七人うち揃い願いを込めた一碗祝う 大月 山田令子

★旅行した輪島朝市の町並は地震・大火で悲し景に 甲府 遠藤俊子