1/1山梨新報「しんぽう文芸」年間賞と新春文芸入選作品の連絡を、山梨の句友、田辺義樹さんよりいただきました。

【年間賞】


◎柳壇 坂田よし江選

年間最優秀賞 市川三郷 一瀬文男

★年金が無理をするなと熨斗袋

★健康と言う財産を持つ余生

★清貧に生きた背中に錆は無い

★我慢には慣れた昭和の生き字引き

★飽食の愚知を昭和史どう見てる


◎歌壇 祢津達子選

年間最優秀賞 富士吉田 樹 俊平

★愛情のこめらる包みひらくよに柔らかに咲く梔子の花

★湧水を汲みてこぼす水車小屋富士山映す忍野八海

★鯨尺で叩かれたさえ懐かしい「男なら云う事をきけ」との親父

★川釣りに祖父とゆきたる遠い春カワセミの声目の覚める碧

★コツコツとパンプスの音ついて来る妻の苦言の続きのように


◎俳壇 山田省吾選

年間最優秀賞 笛吹 石倉絹子

★寒卵病の友に間に合はず 

★石積みの代田の並ぶ水鏡

★木槌振り縄を断ち切る山開き

★飛行機の窓に阿寒の秋夕焼

★竜胆や太平洋の波の音


【新春文芸】


◎柳壇 坂田よし江選


入選(上の最優秀賞の写真の所に載ってます。以下、同じ)


★ひまわりを焦土に咲かす日を祈る 甲府 風間なごみ

★一筋の光私を勇気づけ 甲府 田口節子

★書初めの”米寿の春”へ夢を盛る 山梨 松下時子

★逃げまどう戦禍の子にも春の風 富士川 依田正男

★初夢に笑顔の花が咲く明日 甲府 藤巻 茂


佳作

★愛こめた賀状の一句灯が点る 甲州 鶴田甲敬

★晩学の辞書が春風連れてくる 市川三郷 一瀬文男

★春の陽に誘われ妻の試歩の杖 大月 鈴木民生

★明けて初春(はる)平和の風を胸に抱く 甲州 武井透江

★澄んだ空笑顔溢れる辰の年 市川三郷 遠藤みどり

★初電話舌足らずさえ可愛くて 富士吉田 樹 俊平

★戦争の終結あるを先ず祈念 甲府 遠藤武文

★反戦を鐘の余韻が訴える 市川三郷 岡部 登

★迷わずに生きる余生は青い空 市川三郷 望月芦川

★春風の窓が誘う心旅 富士吉田 三浦てる子

★清らかに老いる手立ての花暦 甲斐 馬場鉄丸

★急ぐなと腰のばしつつ初詣で 甲府 丸山洋子

★それぞれの“あれ”を夢みて初詣で 甲斐 松田健嗣

★来る年も散歩一途で歩きます 市川三郷 前嶋清栄

★言い訳はせぬが男ぞ冬桜 埼玉 伊藤一男

★のぼり龍霊峰富士に願う年 甲府 広瀬八千子

★賽銭に電子マネーも効きますか 笛吹 伊藤 清

★謹んで希望の年を迎えられ 中央 鶴田和彦

★宝くじ買った時だけ大はしゃぎ 中央 志田末男

★この平和続いて欲しと願う初春(はる) 中央 鈴木節子

★孫送る駅頭で泣くジージババ 甲府 大森和男

★新年に願う一言ただ平和 群馬 高橋 空

★礼服のボタン位置替え祝う春 甲府 志摩春海

★孫曽孫集う茶の間の賑やかさ 富士吉田 宮下泰代

★心から感謝感謝の日を重ね 甲府 水橋 昭

★年賀状ラインで済ます味気なさ 甲斐 藤山美樹子

★嬰児と笑顔が集うお正月 甲府 横森千代乃


◎歌壇 祢津達子選


入選


★間と仕草上手くなりきし初稽古孫が笑わす寿限無の一席 甲斐 松田健嗣

★幼き日祖父と拝みし神棚に孫の書き初め太い龍の字 市川三郷 片田佐恵子

★春を呼ぶ光りの中に水仙はひまわりの黄願い新たに 甲斐 山田広美

★深緑の山門の脇での初手水(はつちょうず)あふるる水に心も清む 甲州 秋野正彰

★青空のたかみにキリッとやっこ凧孫と糸繰るドラゴンパーク 甲斐 江口靖子


佳作

★新雪を踏むが如きの新日記いざ書き始めん今年の決意 南アルプス 山久豊寿

★子供等の笑顔にかけても「戦争の世紀」には戻してはならぬ 中央 前田良一

★十年日記も早九年目本年も生きゆく日々書き綴りたし 甲府 磯野 薫

★墨の香に包まれ独り和歌をよむ七十六歲一歩踏み出す 埼玉 伊藤一男

★御神籤は末吉なれど家の中ひときは明るし障子張り替え 甲府 丸山洋子

★透き通る赤子を抱きし彼の日から二十年目振り袖の孫 富士河口湖 堀内智美

★白梅の匂う湯の街塩澤寺静かな伽藍祭り待つ地蔵 甲府 天野 正

★母の歌大筆揮う父出番正月に集う同胞見入る 市川三郷 立川亮子

★難関の試験合格の孫かこみ二年越しなる正月祝う 甲府 原田 要

★新年より師匠の家で学ぶ事心に決めて励む書の道 埼玉 所 富子

★南天が稲穂のように実を付けて正月玄関迎える歳神 甲府 長田由美子

★新春の空に際立つ松の木の細き葉先に初日輝く 甲府 遠藤俊子

★めぐりくる季(とき)の疾きよひと日ごと老い深めつつ年を迎うる 甲府 高瀬孝人

★日本の平和続いてと願う若者達の苦難なき世と 中央 鈴木節子

★今年こそ戦いのない世界にと平和を祈る初詣の社 甲府 大森和男

★数珠珊瑚小さい赤い実光らせて気高く清く輝ける朝 昭和 河田よしゑ

★鏡餅にでんとおさまる橙よ初日のごとく家ぬち照らす 甲斐 大木春子

★白い嶺朝日にはゆる八ケ岳凜凜しき姿に背筋を伸ばす 甲斐 広瀬香子

★白粉の香のりし母のお召し着てお雑煮よそる元日の朝 甲斐 岡田文子

★龍が天に昇るが如く佳き年に世界の平和健康祈願 甲府 広瀬八千子

★晴れ着きて赤い手袋赤い下駄誇らしくゆく村の氏神 甲府 水上瑛子


◎俳壇 山田省吾選


入選


★朝まだき初富士の濃きシルエット 甲府 宮崎和江

★藁の香のほのか三尺牛蒡注連 大月 小俣義人

★神杉(かむすぎ)の闇ほぐれゆく初明り 富士吉田 小林祥子

★一塊の雲なき空や初雀 甲府 村松幸治

★木遣唄谺となりし山始 笛吹 石倉正明


佳作

★秒針の刻める音や去年今年 笛吹 石倉正明

★山峡に陽のゆき渡る初景色 大月 小俣義人

★初明り山川草木皆光る 大月 志村忠義

★一品を持ち寄り和む女正月 甲府 宮崎和江

★元旦や白き昭和の割烹着 市川三郷 片田佐恵子

★癒えし身の希望新たに年迎ふ 富士吉田 小林祥子

★詠むことが生きるあかしや明の春 甲府 山下紀子

★淑気満つ宮居に湧ける富士の水 西桂 梶原とき子

★初景色四囲の山脈晴れ晴れと 甲府 桑原博子

★老いの春いつまで歩む俳句道 甲府 伊藤隆雄

★白鳥にスポット当たる初日の出 中央 志田末男

★トンネルを抜けて甲斐駒初御空 埼玉 伊藤一男

★わが命医師に任せて年新た 都留 松田節子

★神仏に深き礼なす大旦 上野原 宮野 始

★元旦や厳かなりし明の鐘 富士川 渡邊酔庵

★初富士や姿を映す河口湖 甲斐 馬場鉄丸

★御降りのあと日矢美しき桃源郷 甲斐 松田健嗣

★茜色初東雲(しののめ)へ飛ぶ鴉 甲府 横森千代乃

★棚田みな富士に向き合ふ鍬始 北杜 松林新一

★年明くる昨日と違ふ空がある 上野原 佐竹俊明

★先づ妻の健康願ひ初詣 甲府 中村 彰

★平穏を祈る初富士手を合はせ 甲府 遠藤武文

★免許返納杖ついて初詣 甲斐 高橋 正

★初春や富士の神話に熱きもの 富士河口湖 堀内智美

★真つ先に父の教訓初日記 富士吉田 樹 俊平

★静々と月が先導初日の出 笛吹 志村一浩


※田辺さんのお義兄さん、相変わらず好調です。甲斐の高橋正さんも田辺さんと同じ句会(さつき野句会)の方です。