12/8山梨新報「しんぽう文芸」田辺義樹さん報。

◎俳壇 山田省吾選

★帰り花親亡き後の里の家 笛吹 石倉絹子

★極月や高層ビルの窓明かり 富士吉田 樹 俊平

★風花や点滴あとの青き志 都留 松沢節子

★後ろ手の古老たたずむ冬構へ 甲斐 松田健嗣

★窓拭きや透かして見ゆる小春空 甲府 桑原博子

★葡萄棚すけて甲斐駒雪景色 大月 志村忠義

★天守閣なき石垣や小夜時雨 市川三郷 一瀬利彦

 ※ライトアップされている石垣かも。

★思い出の咲きはじめたる帰り花 北杜 松林新一


◎柳壇 坂田よし江選

★人生のビタミン剤は川柳か 富士吉田 田辺義樹     

★背に受けた指文字嬉しスキと読む 甲州 鶴田甲敬       

 【評より】遠い日の甘い思い出。

★ワンルームベッドから見る秋の月 笛吹 井出まゆ           

  【評】寂しい一人暮らしにも名月を独占出来る豊かな夜がある。

 ※「ワンルーム」とあるからグループホームかも。

★義理を欠く年金暮らしもう慣れた 富士川 依田正男 

  【評】物価高に耐え、心ならずも義理を欠く事が多くなった老いの日々。

★晩秋の里へ一人のこころ旅 甲斐 馬場鉄丸

★さよならの握手小さな笑み返り 甲府 三科恵美子

★寂し気にまつわる蝶を連れ散歩 甲府 小林 衛

★穏やかな冬日集めて柿すだれ 甲府 丸山洋子

★ウオーキングいつも合掌道祖神 甲府 大森和男

★足元の段差気になる老いの道 甲府 藤巻 茂

★寝てる間に講演終わり拍手する 甲府 武井玲子

★継続は力と信じ明日へ翔ぶ 甲府 風間なごみ


◎歌壇 祢津達子選

★日の沈み廻りの山の暮れゆくも夕陽差しいる大菩薩嶺(れい) 中央 前田良一

  【評より】夕陽が射し明るさの残る大菩薩嶺の神々しさを感じとれる歌。

★「あんぽ柿大好きなんよ」とお礼の電話喜ぶ叔母の元気さ嬉しい 甲斐 松田健嗣

★ストーブの上に載せたるさつま芋こんがり焼けてほつこりとろり 富士吉田 田辺義樹

★空高く昇仙峡の岩峰の緑と紅葉のコラボレーション 甲州 秋野正彰

★指折りて命の残り数えてははたと人間らしき生き方自問 甲府 小林 衛

★出不精が娘夫婦に連れ出され思い出作りに一足飛びだす 甲府 遠藤武文

★炬燵にて仕事の手順考えて愚図な私やっと動きだす 甲府 広瀬八千子

★遠き日の想い出に浸る一時が楽しみとなる温き冬の日 甲斐 大石保夫

★マリーゴールド咲く小春日の庭アサギマダラ風にのりゆく 甲府 横森千代乃

★夏の延びそのまま冬になってゆくみどりの山を雪の覆いて 甲府 内藤勝人

★今年又春咲きポピーの種を蒔く日毎にのぞく発芽願いて 中央 鈴木節子

★白雪のアルプス連峰の美しさ今年も見られ幸福な朝 笛吹 矢崎博子