佐世保短歌連盟創立六十周年記念合同歌集『弓張岳(ゆみはりだけ)』が刊行されました。

題字は森本弘子さん。弓張岳は、佐世保市西部にある山(標高364メートル)。頂上の展望台から佐世保市街や米軍基地、SSK(佐世保重工業)のドック群、九十九島を見ることができ、西海国立公園にも指定されている。藤浦洸の詩碑、その詩に曲を付けた團伊玖磨の『西海讃歌』の碑、永石三男の歌碑もある。
 ↑古い歌碑。新しく建てられたもの↓

「照れば鳴きくもればひそむ松せみのなき揃ふときし山は閑けし(永石三男)」

歌集には、故人5名を含め177名による2655首が収録されています。

私の短歌も載せていただいています。

「おづおづと抱く」川岡末好

★少年のやうな男と勝気な女 曼珠沙華にも白と赤あり

★ご夫婦か手をつなぐひと目に入りて胸の奥底強く疼けり

★小野田さん、戦後の日本はどうでした?生命を懸けし皇御国(すめらみくに)は

★ちよつと酒交はせば溶けるわだかまり男たちには議論は要らぬ

★一枚のさみどりの葉を伴ひて硬き殻より辛夷咲き出づ

★そよぐほど色鮮やかになりゆけりビオラは風の光を貰ひ

★代掻きを終へし水面を白鷺が農夫のごともながめてをりぬ 

★台風の残せる木つ端を踏みしだき車走らす今日のたつきへ

★地図見つつ宅配先を教へ合ふ みなはらからと思へる瞬間

★後輪を替へたるのみのわがバイク音かろやかに進みくれたり

★歯の老いしわれ食まずとも帰省する子らの為にと大根(だいこ)干しをり

★十トンダンプの荷台に無数の門松を乗せて走れり 空晴れわたる

★「稔!秀利!正子!正之!」吾の名はついに出で来ず 吾を呼ぶ母

★人間が人口抑制する時代少子化は未必の故意なる行為

★おぢいちやんと呼ばれ女孫を渡されておづおづと抱く夢の心地に


まだ短歌も作ってた頃の数年前の稚拙な作品ばかりでお恥ずかしい限りですが、これも私の一歴史です。