4/10長崎新聞「郷土文芸」(グループ作品)など、より
★穏やかな湖弾けたる鳰の群 深野敦子
★ぽりっぱりっ椎の実踏んだぽりっぱりっ 塩崎みちえ
★秋麗赤き橋行く三世代 吉田利子
★行く秋や無駄などないと振り返る 梶原郁穂
★城跡の色褪せゆきて冬に入る 三河祥子
★山城に朽ちし土塁や冬日影 馬場ミチ子
★賀正止め潔さと寂しさと 坂本しのぶ
★来客の賑はひ残し冬の月 川久保直子
★変面ショー歓喜の一瞬冬日射す 緒方茄子
★一人居の一献つけてひな祭り 森廣 真
★蔵めぐりピアノに薄きよなぼこり 山口靖子
★巡回のナースの告げし春の雪 徳永良子
(風羅坊句会)
★元旦の新聞父夫それぞれに 野本眞須美
★初御空光りおりなす市庁舎か 松尾香奏永
★生きるため人は生まれて初桜 川添早苗
★アルバムに小さき寄せ書き卒業子 篠崎清明
★春の月大きく母の顔映し 外輪ふみえ
★紫の風に包まれ諸葛菜 樋口千代
★粒餡と決めてあの店草の餅 山脇順子
★寄居虫の破れ貝着て忘れ潮 吉田志津子
★散りてなほ黄心樹(おがたま)の花香を残し 吉田睦子
★春の空吸い込むように深呼吸 清水五月映
★春驟雨贖罪のごとく濡るる 藤野律子
★足場組む若き力や風光る 松本真由美
★ふらここの影より抜けて子の帰る 山下順子
★もう少し引きとめたきも雛の宴 平川きよし
★山宿の般若の面義仲忌 富永美恵子
※「義仲忌」=ぎちゅうき。よしなかき。旧暦1月20日(1184年)。
★北窓を開くや山風真新し 内田育子
(あすなろ社)
★母はモモ父はイトウといふ子猿絶滅危惧種のシロテナガザル 永田保子
★「楽しい散歩に行きましょね」歌いつつ老犬と行く朝の公園 志久達成
★病室に届く鯛焼退院日 後藤耕平
★杜の鳥唄ひ交はして神迎 安原さえこ
★読み聞かせ読書の一歩文化の日 望月麗子
(湾2月号)
★鹿児島に屋根付きの墓冬ぬくし 園田洋子
★独り居の生活の証古暦 田中怜子
★卒寿すぎ先は手さぐり日記 買ふ 中島久子
★石蕗咲くや崖道畦道仏道 城臺文江
★飛彈路往く雨も良きかな冬 紅葉 中尾和枝
★ほどほどの新酒で心満たす 夜 井上弘喜