4/9朝日俳壇。
◎小林貴子選
★混沌の世のまま大江逝きし春(伊賀市)福沢義男
★前の駅出ましたランプ初桜(東京都)竹内宗一郎
(評より)駅の接近表示。
★春暁や何かくれよと窓の猫(長崎県小値賀町)中上庄一郎
★大谷君素敵な春をありがとう(春日部市)山岸誠二
★人類の第一歩めく青き踏む(会津若松市)竹田破竹
◎長谷川櫂選
☆逃水を追ひし青春大江逝く(大和市)岩下正文
(評)到達できないものを求めていた青春時代。作家の生涯もまた。
★淋しさの涯(はて)まで行けり放哉忌(蒲郡市)牧原祐三
※「放哉忌」=4月7日(1926年=大正15年)。41歳。
★九十歳刻一刻の春惜しむ(新座市)丸山巌子
★大仏のごとくゴリラの春眠す(草津市)あびこたろう
★暖かや隣の庭に妻の声(相模原市)志村宗明
★なつかしき春風どこまでも故郷(越谷市)新井高四郎
★福島の思ひ出だけの春惜しむ(福島県伊達市)佐藤 茂
◎大串章選
☆アインシュタインの舌は一枚山笑う(岐阜県揖斐川町)野原 武
(評より)アインシュタインの「舌出し写真」は有名。そして決して 二枚舌は使わない。
★蛇穴を出づ若者は村を出づ(島根県邑南町)椿 博行
★鳥帰る皆で手を振る餌場かな(玉野市)加門美昭
☆逃水を追ひし青春大江逝く(大和市)岩下正文
◎高山れおな選
★行き先は涅槃図の森けもの道(霧島市)秋野三歩
(評より)思いがけない幻想への飛躍。
★春入日沖は鯨の通ふみち(取手市)金澤 昭
★ふらここを押されて押して父となる(甲府市)中村 彰
☆アインシュタインの舌は一枚山笑う(岐阜県揖斐川町)野原 武
◎歌壇より
★野球など興味なかったにわかファンペッパーミールさかんに真似て 甲州市 山下栄子(佐佐木幸綱・高野公彦選)
◎同ページ下段「風信」