10/1ラジオ文芸選評。短歌。テーマ「謝る」、選者は永井祐さん、司会は石井かおるさん。

【永井祐さん】1981年東京都生まれ。早稲田大学1年の時に早稲田短歌会入会。大学では水原紫苑ゼミを受講。2011年、第一歌集「日本の中でたのしく暮らす」を刊行。2020年、第二歌集『広い世界と2や8や7』を刊行し、第2回塚本邦雄賞受賞。

番組で紹介された永井祐さんの作品↓。

★松潤になりたいと思ったことが思ったことはいちどだけある

★ゴキブリは色がうすいとこわくない 梅雨の玄関の靴のとなりに


永井祐さん、今年は〈佐藤佐太郎〉を研究されているそうです。番組では次の短歌が紹介されました。

★公園のくらがりを出でし白き犬土にするばかり低く歩きぬ 佐藤佐太郎『歩道』(戦前) 

★草木(そうもく)のかがやく上に輝(かがやに)をしづめしづめてゐる空気見ゆ 佐藤佐太郎『形影』


◎入選歌


★「ごめん」まで入力して一番誠意がなさそうなスタンプにする(東京都 みえるてさん)


★なでますかと言われるだけでこわかった動物病院酸素室暗い(千葉県 ぽっぽさん60)


★謝ればよいのか泣きながら君は氈鹿(かもしか)の顔デッサンしてる(北海道 畔ノ未さん34)


★反省の色はブラウン今回は新作モンブランと家路へ(東京都 富見井高志さん55)


★菓子折りを抱え謝罪に来た母のかばんからみえていた葱(北海道 柄谷月子さん49) ※石井かおるさん選


★雪見障子に謝り倒す手の平に畳の目びっしりとかんじて(東京都 佐藤移送さん)


★謝って済んでしまった 蛇口から水の滴る音が聴こえる(神奈川県 何村俊秋さん26)

 ↑ 永井祐さんのイチオシ作品。


★謝罪文ファイルのフォーマットの中で謝りつづける営業部佐野(千葉県 芍薬さん)


★ごめんねとまずは言っちゃうだろうなあ十五の私に出会ったとしたら(広島県 堀眞希さん) ※石井かおるさん選


★ごめんねもごめんなさいも恥ずかしくあなたが特別だって気づいた(神奈川県 紺色夜半さん20)


★遠雷と思ったほどの風が吹く 謝る前のなんてさみしさ(北海道 中村育さん)


★自転車で段差を跳ねる前かごのケーキの箱に謝りながら(新潟県 マーチさん)


★銀杏が落下してゆく公園で別の角度で謝ってみる(愛媛県 海老沼夕さん)


★ファミコンのBGMだけ流れてる大喧嘩した姉と我泣き(岡山県 岩崎純史さん42)


★もう少し待たせることを謝って仏壇に置く饅頭ひとつ(三重県 伊藤石英さん73)


★コーヒーは飲めないくらいの時間がある軽めの謝罪案件までに(神奈川県 久藤さえさん)


★レニーちゃんたくさんあるよかつお節たくさんあるよ懐かしき日の(埼玉県 うちゅうねこさん51)


◎聴き逃しサービスは↓

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◎来週10月8日は俳句。兼題「新米」、選者は髙柳克弘さん。