7/30西日本新聞「ながさき読者文芸」


◎俳壇 籏先四十三選

★床下に犬が逃げ込む大暑かな 島原 坂本優美子 

★跡継ぎのなき段畑や夏薊 佐世保 相川正敏

★打水やしばし憂き世を忘れなむ 諫早 篠崎清明

★滴りの岩に彫られし仏かな 佐世保 小山雅義

★新種かも図鑑開く子苔の花 佐世保 松永愛子 

★明日なき刹那に生きる螢かな 佐世保 荒木幸則 

★朝顔の鉢抱かれて下校の子 佐世保 太田恵子 

★夕焼を食み合ふ野牛顎揃へ 雲仙 伴 信彦 

★顳顬(こめかみ)を撃ち抜くやうなはたた神 佐世保 牛飼水鳥

★捨て船に寄り添ふ如く海月かな 佐世保 森 誠

★長生きのひとりに広き夏座敷 佐世保 萩原幸子


★夕虹や先師送りし日の記憶 諫早 田中道信

★半世紀水屋に眠る切子かな 対馬 神宮斉之


◎歌壇 黒田邦子選

★相田みつをのつぶやきを聞くカレンダー少しやさしくなる私です 佐々 法本安子

★湖に沈む化石を見つけ出す歌を詠むとはさういふ事よと 松浦 金子寿美

★台風の予報が出れば休校す昔はやすまず親も送らず 松浦 前田サツキ 


◎諧句 川田金太郎選

★つま弾けばギターの弦に夢宿る 諫早 松原静枝

★相槌の都度に心の扉開け 長崎 荒井孝憲

★ごめんねに返す言葉が丸くなる 佐々 法本安子

★退屈の言葉を使う時が無い 松浦 前田サツキ