3/6NHK短歌。題「食べる」選者は田村元さん、ゲストは石塚英彦さん、司会は星野真里さん、レギュラーはカン・ハンナさん。

◎冒頭の短歌

★アジフライ箸で小さく切り分けて午後に重たき一仕事あり 田村 元

◎入選9首

★パクチーと知らずに食べたパクチーは天王星まで飛べそうな味 青森県八戸市 夏野あゆね 

 カン・ハンナさんの特選。夏野さんはNHK俳句の方でも今日、入選されていました。

★窓枠を額縁にして雪が見る蜜柑を食べている私達 群馬県前橋市 ナカムラロボ

★食べ頃の西瓜を選ぶゆびさきがノックしている夏へのとびら 東京都八王子市 早月くら

★レシートを受け取りながら飴色のおでんの大根つい見てしまう 東京都東村山市 岡本和子

 ↑コンビニ、ですね。石塚さんの特選。

★串だんご一番奥を食むときは野武士顔して咥え引き抜く 神奈川県厚木市 篠﨑俊二

 ↑特選三席。

★「ありがとうございました」と礼を言う店主は客に客は店主に 神奈川県横浜市 丹羽口憲夫

 ↑丹羽口さん、短歌も。俳句ではもう、NHK俳句でも全国紙俳壇でも常連さんです。特選一席

★ラーメン屋の空中行き来するラーメンひとつが着地わがテーブルに 山梨県甲府市 村田一広

 村田さんのお名前は、全国紙の俳壇でしょっちゅうお目にかかります。この方も丹羽口さん同様、短歌もなされるようです。

★ぶ厚めの海鼠を喰らひ噛み切れぬところをごくりと喉で味わう 福井県敦賀市 小島順一

★美味そうに食べると聞いてもう好きになってしまった息子の彼女 大阪府羽曳野市 西村真千子

 星野真里さんの特選。田村元さんの特選二席


入選歌及び佳作は「NHK短歌テキスト」5月号に掲載されます。


現在募集中の投稿↓

◎番組の途中で、短歌に関する新しい企画のお知らせがありました。

◎「熱血!短歌ノック」

★まだ生えてこない前歯でかぶりつくハンバーガーから覇気がこぼれる 星野真里

 ↑添削なし。

★梅干しもべったら漬けも食べられる日が訪れて春風が吹く カン・ハンナ

 ↓(添削)

★梅干しもべったら漬けも食べられるようになった日春風が吹く

◎石塚さんが出した題で一首。題「健康」。石塚さんは「コロナ禍もあって、健康のためにとベンチプレスなどをやっているが、却ってたくさん食べるものだから逆にまた太ってしまった。」と言っていました、笑。

★健やかでなくとも健やかに笑う人に届いてほしい春風 星野真里

 あらまた、ずいぶん句跨がりの短歌ですね。短歌でも句跨がりが流行っている?笑。リズミカルにしたいが為のリフレインが逆に無駄になっているような気がします。

 ↓(添削)

健やかでたとえなくとも健やかに笑うあなたに届春風 

★深夜二時体の声をよく聞いて濃厚なチョコアイス摂取す カン・ハンナ

 添削なし。石塚さんのイチオシでした。


◎「選者のはなし」

 ↑東京神保町にある、明治42年創業の老舗のビヤホールだそうです。
 そしてそこによく通ったという佐藤佐太郎さんの短歌↓

★泪いづるまでなつかしむわが若くビールを飲みしところはここぞ 佐藤佐太郎

 そしてそこの名物メニューのトンカツ↓

 そこで作られた田村元さんの短歌↓

★ポテサラとキャベツの前のポークカツ◯◯◯◯◯◯◯△△△△△△△

 さて、◯△のところに何が入る?というわけです。

★ポテサラとキャベツの前のポークカツまず野菜から食べたいですが (カン・ハンナ)

★ポテサラとキャベツの前のポークカツ2人は僕の敷布団 (石塚英彦)

★ポテサラとキャベツの前のポークカツみたいな家族写真を飾る (星野真里)

元歌は↓

ポテサラとキャベツの前のポークカツ明日からのわが盾として立つ 田村 元

再放送は、3月8日(火)午後3:00〜3:25。


◎今回で田村元さん選は最終回でした。