10/16NHKラジオ「文芸選評」。題「草紅葉」、選者は小澤實さん。

○ラジオで紹介された小澤實さんの経歴=1956年長野県生まれ。65歳。信州大学(人文学部)に進学して「信大連句会」に参加し、連句会の連衆であった宮坂静生の手ほどきで作句開始、「鷹」(藤田湘子)に入会。1980年「鷹」新人賞受賞、1982年「鷹」俳句賞受賞。1985年「鷹」編集長に就任。1998年、第二句集『立像』により第21回俳人協会新人賞受賞。1999年「鷹」を退会し、2000年「澤」創刊・主宰。2006年、第三句集『瞬間』により第57回読売文学賞詩歌俳句賞受賞。2008年『俳句のはじまる場所』により第22回俳人協会評論賞受賞。現在、俳人協会常務理事。2011年より角川俳句賞選考委員。近日中に、芭蕉研究の集大成『芭蕉の風景』(上下巻)刊行予定。20年かけて芭蕉の足跡を訪ねての大作。代表的「本の山くづれて遠き海に鮫」「ゆたんぽのぶりきのなみのあはれかな」「夏芝居監物某出てすぐ死」「大寺のいくつほろびし日向ぼこ」「林中にわが泉あり初茜」「神護景雲元年写経生昼寝」「たれ刷いてうなぎの艶やさらに刷く」など。


○ラジオで紹介された小澤實さんの俳句。

★ふかく眠りぬ秋草の生けあれば

★ひとすぢの光は最上鳥渡る


◎入選句。


★横綱のメンコ飛ばされ草紅葉(大阪府 渡辺たかきさん 61)

★グローブのほてり畳んで草紅葉(埼玉県 炭治郎さん 50代)

★礫(れき)多き川原に湧き湯草紅葉(兵庫県 葦たかしさん 70)

★飼ひ鶏潰す母の手早さ草紅葉(東京都 大竹安子さん 90)

※↑小澤實さんのイチオシ作品

★島の道すぐに果てたり草紅葉(兵庫県 田上勝清さん 65)


★トラックの走行風や草紅葉(神奈川県 井上のなめさん)

★この骨がのど仏です草紅葉(埼玉県 大野美波さん 34)

★子を抱え尿(いばり)させやる草紅葉(東京都 もう一歩さん 77)

★イヤホンの左右わけあひ草紅葉(東京都 大谷悦子さん 64)

★自転車のサドルを下げて草紅葉(神奈川県 友常甘酢さん)

※↑「サドルを下げて」がいい。リラックスして行こう、と。


★土管より顔出す猫や草紅葉(岐阜県 直井照男さん 71)

★骨壷の蓋に犬の名草紅葉(神奈川県 オオタケシゲヲさん 55)

★雨粒の湛ふるひかり草紅葉(新潟県 伊奈川富真乃さん 73)

★草もみぢ飛鳥美人の裳裾引き(兵庫県 長谷川淑子さん 64)

★旅客機の離陸まぢかに草紅葉(京都府 加藤草児さん 73)


◎石井かおるさん選。

★木道のポクポク軽し草紅葉(埼玉県 浦野紗知さん)

★草紅葉一日千里走る馬(東京都 松本 健さん 56)

★四番打者大飛球や草紅葉(東京都 菫久さん 60)

※「四番打者大飛球なり草紅葉」にしたらどうか。(小澤さん)

★教職もこの頃たのし草紅葉(東京都 大堀 柔さん 37)


◎来週10月23日は短歌、テーマは「逆接の接続詞(でも、しかし、けれど…)」、選者は斉藤斎藤さん。