今日(10/10)のNHK短歌。題「挑む」。選者は佐佐木頼綱さん、ゲストは小池祐貴(陸上競技選手)さん。

北海道小樽市出身。26歳。専門は短距離。2018年ジャカルタアジア大会の200m金メダリスト。慶應義塾大学卒業、住友電工所属。今回のオリンピック男子100m予選では10秒22で4組4着となり準決勝に進めなかった。

◎冒頭の佐佐木頼綱さんの短歌。

★出鱈目に光をゆらす樗の葉を病に挑む君と見ている 佐佐木賴綱

※「樗」=おおち。栴檀(せんだん)の古名。


◎入選9首。

★青空へぐるんと落ちてみたくなり十年ぶりに挑む鉄棒 青森県八戸市 夏野あゆね

※↑小池さんの特選予想歌。佐佐木頼綱さんの特選ニ席

★自らの生みたる風に挑みゆくアスリートらの熱き眼差し 宮城県仙台市 角田正雄
※「自らの生みたる風に挑みゆく」という表現、いいですね😄。

★オンライン面接の朝いつもよりリップラインを大きめに取る 千葉県千葉市 芍薬

★挑戦をやめて得られた安心に押しつぶされる真夜中だった 東京都世田谷区 嫉妬林檎

※↑星野真理さんの特選予想歌。

★ギリギリを攻めろと鏡の言うままに際の際まで引くアイライン 神奈川県横浜市 久藤さえ

※↑この歌、私の特選一席。見事、頼綱さんの特選一席でもありました。

★「ちょう戦状」を突き付けられて飛車角の落ちた席へと座らされたり 新潟県佐渡市 弾正俊一

※「ちょう戦状」のひらがな表記は子供から勝負を挑まれたことを示し、上手いもんですね。

★火に挑む陶土に白き釉薬をもう大地には還らぬやうに 静岡県静岡市 田北明大

※↑頼綱さんの特選三席

★頂点に挑むすがたが次々と画面のなかに現れて立つ 兵庫県神戸市 杉村芳美 

★趣味・特技・志望動機を黒髪にギュッと束ねて挑む就活 奈良県奈良市 ふじかわひろあき

※これもいいですね。「〜を黒髪にギュッと束ねて」など素晴らしい表現方法。カン・ハンナさんの特選予想歌。


入選歌と佳作は「NHK短歌テキスト」12月号に掲載されます。


次回佐佐木頼綱さんへの投稿↓

NHK全国短歌大会の締切予告も映されました↓。

◎選者の話では「スポーツと短歌」、今日は葭原滋男さんの短歌を紹介していただきました。↓

★迫る壁にペダルが重い我が胸と晴眼者(パイロット)の背に祈る我武者羅 葭原滋男

葭原滋男さん=1962年まれ、埼玉県鶴ヶ島市出身(生まれは東京都杉並区)。10歳の頃に網膜色素変性症を患い、その後全盲となった。

「短歌!かかってきなさい !」は、題が「小池さん」。


「スタートラインに立つ時、号砲が鳴る前は周りの情報が入らないように目を瞑ったりする。0.01秒差で準決勝を逃した。リレーでバトンを第二走者に渡せなかったこともある。競技以外の時間の時には一人いろいろシュミレーションしたり、過去の反省をしたり、身体を動かすことよりも頭を動かすことを一番大事にしている。目から入る情報も大事。レース中のことはあまり覚えていない、笑。」(小池祐貴さん)

★自らに挑むゆうきの胴体(トルソー)がフィニッシュフィンを白く染めあぐ 頼綱

★考える肉体となり走り抜け景色消えゆく景色消えゆくOn Your Marks 星野・カン組

※「on your mark(s)」は、競技用語で「位置について !」という意味。


小池さんの軍配は、頼綱さんの短歌でした。


◎再放送は、10月12日(火)午後3:00〜3:25。