8/8NHK短歌。テーマは「パラスポーツ」。選者は佐佐木頼綱さん、ゲストは初瀬勇輔さん、レギュラー出演カン・ハンナさん、司会は星野真理さん。

(↑北京パラリンピック)

★畳の上、薄明のなか襟掴む相手の心のみを見つめて 初瀬勇輔

◎冒頭の佐佐木頼綱さんの短歌

★ハンドリム漕げばわが頬打ちてすぐ光は匂う立夏の朝(あした) 佐佐木頼綱

◎入選9首

★盲目のスイマーだけに見えているゴール間際の声のかがやき 北海道札幌市 住吉和歌子

★トマト手にすれば思わず投げそうで明日はボッチャの約束がある 千葉県千葉市 深海泰史

(↑ボッチャのボールはトマトに似ている)

★ランナーの手と手をつなぐロープ揺れふたつの影が共に越す夏 東京都江戸川区 西藤 智

↑初瀬さんの特選予想歌。

★静寂は殺気にも似て車いすテニスのキュッとターンする音 神奈川県横浜市 小俵鱚太

↑佐佐木頼綱さんの特選ニ席

★くるくるとリズムにのせて風を切る車輪の足と夏を駆けだす 静岡県静岡市 春 ひより

↑星野真理さんの特選予想歌。

でもこの歌、歌だけでパラスポーツの車椅子だとわかるかどうか、という問題がありますね。

★夢は何と訊かれて君は的狙うボッチャのときの目になっていく 三重県大紀町 北村 保

★それぞれを受け止めて水は「掻いてみろ」「進んでみろ」と語りかけくる 福岡県福岡市 犬山裕之

↑これも歌だけでパラスポーツの水泳とわかるでしょうか?でもこれが佐佐木頼綱さんの特選一席でした。

★隆起する上腕が風を切り裂いて三輪レーサー海沿いを行く 大分県大分市 梅鶏

★静寂と歓喜を行ったり来たりするゴールボールの丸き鈴の音 宮崎県新富町 門田祥子

↑カン・ハンナさんの特選予想歌。この歌は佐佐木頼綱さんの特選三席でした。

入選歌と佳作は「NHK短歌テキスト」10月号に掲載されます。


◎次回、佐佐木頼綱さんへの投稿↓

◎「選者の話」では元パラリンピック射撃選手の田口亜希さんの短歌が紹介されました。

1971年生まれ。大学卒業後、郵船クルーズ株式会社に入社し旅客船の乗員として世界中を航海していたが、25歳のとき、脊髄の血管の病気を発症し車椅子生活に。リハビリ中に出会った友人の誘いで退院後ビームライフル射撃を始め、その後実弾を使用するライフル射撃に転向。点字ピクト開発にも携わっており、初瀬さんによれば、田口さんの点字ピクトは厚みがあってわかりやすいそうです。

★繰り返し伝えた思いの分がありふわっと熱い点字のピクト 田口亜希

◎「短歌!かかってきなさい!」は「初瀬さん」を題にしての作歌。

★見えぬこと肯定をする十万の拍手の雨だパラリンピックよ 星野・カン組

★こもりくの初瀬勇輔くぐりゆくいまトリノス(北京国家体育場)の拍手の海を 佐佐木頼綱

初瀬さんが選んだのは佐佐木頼綱さんの歌でした。

《枕詞「こもりく」に意味を持たせ、自分のことと重なった》(初瀬さん)


※再放送は、8月10日(火)午後3:00〜3:25。


※NHK俳句は、オリンピック放送のため、8/10(火)深夜0:25~0:50(日付は8/11)に変更になったそうです。