第116回長崎県綜合短歌大会(長崎歌人会=田中須美子会長=主催、長崎新聞社など後援)の結果が、5/31の長崎新聞に掲載されていました。読みやすいようにまとめてみました。

会場での大会は中止。全出詠数262首。選者選、互選結果を総合して、各賞別にまとめました。


日本歌人クラブ賞

▪️ゴミ袋さげたるをとこ三人がそろひ踏みせりエレベーターに 長崎市 安田博行

大下一真特選第1席


現代短歌社賞

▪️「明日はさ水筒いる」と子の言いて苺ふた粒つまみてゆけり 鹿島 河野里枝

大下一真特選第2席


長崎歌人会賞・長崎県文芸協会賞

▪️原発か太陽光エアコンの涼しき風の出自は問わず 佐世保 山村 孝

大下一真特選第3席・馬場昭徳特選第2席


長崎国際文化協会賞・長崎歌人会賞

▪️大波を押し来る吹雪の岬にて妻と揚げたり搗布(かじめ) 五十キロ 松浦 尾田 貢

上川原緑特選第2席


長崎新聞社賞

▪️お返しはひとつまみなるマッチ棒母は小皿に載せてゐたりき 川棚 辻尾 修

馬場昭徳特選第1席


▪️明け方をトイレに立ちし老い母がわれの毛布を掛け直してゆく 長崎 渡辺美樹子

互選第1席


朝日新聞社賞

▪️会ふために人は在るとぞ老木の梅がつぶやく花びらが散る 諫早 長島洋子

上川原緑特選第1席


NBC長崎放送賞

▪️ふるさとの枇杷の実がもう熟れるころ夜の職場も梅雨に入れり 佐世保 吉岡正孝

馬場昭徳特選第3席


NCC長崎文化放送賞

▪️仏とは心を解(ほど)くと知りし日の甦へるなり冬のたんぽぽ 長崎 井手彩朕子

上川原緑特選第3席


長崎歌人会賞

▪️里山の老女襲いし猪が裁判うけずジビエとなりぬ 長崎 津田邦彦

大下一真特選第4席


▪️母の日にもらつた傘を半年で失くしたワタシはひふへとほほ 島原 立石千代女

大下一真特選第5席


▪️めくりゐる歌集の余白に書かれたるmushroom cloud(きのこ雲)なる鉛筆の文字 長崎 碇 博視

馬場昭徳特選第4席


▪️ダンディーな男になれと島住みの長きわれにもカタログ届く 新上五島 宮下盛行

馬場昭徳特選第5席


▪️ぬくぬくの布団抜けだしウォーキング向かい風さえ心地良き朝 大村 中村すみ子

上川原緑特選第5席


▪️点滴の落ちゆくさまよ悲しみにまだゆとりある涙に似てる 諫早 大平美代子

互選第2席


▪️会話なき今日一日に給湯器 「ふろがわいた」と声かけくるる 大村 松崎 勉

互選第3席


 ▪️親の死を願う気持がなかったと言えるだろうかあのときのオレ 対馬 神宮斉之

互選第4席


▪️声で吾を叱りし日のありて「どなたですな」と今父は言ふ 壱岐 町田典子

互選第5席


大下一真佳作に、渡辺美樹子(長崎)、森友子(佐世保)、久保進(平戸)、久保美洋子(長崎)、真下市男(佐世保)入選。


馬場昭徳佳作に、松尾綾子(佐世保) 、岩崎勢津子(長崎)、牧島康子(大村)、三原ちとよ(佐賀)、大平美代子(諫早)入選


上川原緑佳作に、町田典子(壱岐)、牧島康子(大村)、松尾みち子(長崎)、奥村善次郎(大村)、河野里枝(鹿島)入選


互選佳作選に、 朝長公子 (大村)、大西恵子(北九州)、鶴丸たか子(佐世保)、工藤洋六 (長崎)、久保美洋子(長崎)入選