俳句年鑑』を読む(22) 坪内稔典さん・行方克巳さん。


◎「年代別 70代男性 団塊の世代の下で」筆者 : 櫂未知子さん。

坪内稔典さん(昭和19年4月22日生/船団)

▪️夢殿へ寄ろうかこのごろ若葉冷え

▪️ねじ花が最寄りの駅という日和

楽し気なの詠み方は健在。ちょっとひねった作品の展開が面白い。(櫂未知子さん)


◎「諸家自選五句」では、

▪️ふと開くクロッカスとかヒヤシンス

▪️蛍烏賊独り占めして親分は

▪️ねじ花へ寄って一人が三人に

▪️ねじ花が最寄りの駅という日和 ▪️九時からの哲学講座枇杷熟れる


◎「船団」は↓

https://ameblo.jp/kawaokaameba/entry-12585089344.html


◎坪内稔典さんのすぐ隣に行方克巳さんがあります。次の写真は上の写真の続きです。

行方克巳さん(昭和19年6月2日生/知音)

▪️リラ咲いてみんなが知つている秘密

▪️蛇ずたずたにさいなみし夜の夢精かな

▪️白玉や島原小町老いたれど

なまなましさをなまなましいままに提示する作家。たくましい作品をいろいろ見せてくれた。作品に弾むようなリズムがあるのが楽しい。(櫂未知子さん)


◎「諸家自選五句」では、

▪️ひと殺めたるはいつの世冬の鳴

▪️マスク落ちてゐる汚なげに憎さげに

▪️都鳥水の火宅もありぬべし

▪️何も問はず何も答へず遅日の石

▪️青葉雨死もまた一身上の都合


◎「知音」393p

代表=行方克巳・西村和子。副代表=中川純一。編集=西村和子。東京都港区。 平成8年1月、行方克巳と西村和子が東京で創刊。 師系

清崎敏郎。「花鳥諷詠の伝統に根ざした個性の発揮をめざす」 。月刊。550部発行。年13200円。昨年「星野立子賞新人賞」を受賞された富士原志奈さんがいらっしゃるところですね。志奈さんは津野ネット句会でもお馴染みですね。

▪️星飛んで何もかも昨夜までのこと 行方克巳

▪️大海は珠を孕めり養花大 西村和子

▪️煮え切らぬ話なりけりおでん酒 富士原志奈

▪️白に白重ねて牡丹暗みたる 難波一球

▪️春宵や禁句の出でて通夜の酒 佐竹凛凜子

▪️をみな我何を遂げたり立子の忌 米澤響子

▪️ 空蟬の背にたましひの切れつ端 大塚次郎

▪️欲張りし福に手こずり戎笹 本宿伶子

▪️日に青く透け綿虫の浮き上がる 松井秋尚

▪️紅梅といふ眼福の日々に濃く中川純一