笠間書院季何学研究所10月の実験。題「ガイド」(詠みこみ)、「反応」(詠みこみ)、「若さ/老い」(しばり)」。
○よく当ブログでもお馴染みの寺津豪佐さんや砂山恵子さんが入選されている「笠間書院季何学研究所」というところの俳句サイト(「俳句の実験」)で10月度の結果発表が行われていました。
(天賞)音声ガイドゆっくり母語を話し咳 古田秀
(地)母老いて塵も光も口に入る 小林瑞枝
(人)Nonviolenza
induce la reazione nucleare
di limone 南方日午
(佳作)
▪️老人が玉投げてゐる運動会 西村麒麟
▪️子どもの日Siriは何にでも反応 寺津豪佐
▪️魔女狩のガイドラインを手に花野 鈴木牛後
▪️出し抜けにガイドブックに無き花野 藤井祐喜
▪️Spätholz und Frühholz
schaufeln abwechselnd
ein Grab 斎藤秀雄
▪️犬の目で学ぶ世界や雪晴るる 安田中彦
▪️兵隊と薔薇が描かれた哺乳瓶 涅槃girl
▪️よろこびの林檎甘噛みして老いる ぐ
▪️敷石に躓いて知る秋は白 ひでやん
▪️背負投げしたき寒さや百年松 中山月波
なかなか難しい句。ここでは寺津さんの句だけに絞って鑑賞してみたいと思います。
▪️子どもの日Siriは何にでも反応 寺津豪佐
これは「反応」の詠み込みですね。当サイトでの句評は以下の通りでした。評者は私も知りません。
《季語「子どもの日」が効いている。何にでも反応するのは子どもたちでなく、「Siri」なのだ。そのSiriに様々な反応をさせるのが最近の子どもたち。Siriという固有名詞の賞味期限は長くないと思うが、賞味期限が短い固有名詞を使うからこそ今の時代を詠める場合がある。》
ははあ、評を読んでもなかなか難しい。「Siri」というのは、人間の言語による質問に対して答えるAIシステム、Speech Interpretation and Recognition Interface(発話解析・認識インターフェース)だそうです。そういう「何にでも反応する」「Siri」と「子供の日」との取り合わせの句のようですね。よく考えたら音声による検索もスマホで出来たりしますから、ああいうのもそうなんでしょうね。
他の句については↓をご覧ください。
http://kasamashoin.jp/25666-2/10%E6%9C%88%E3%81%AE%E5%AE%9F%E9%A8%93/