✏『俳句界』4月号〈2〉。「特集 横山白虹」の中の「横山白虹50句」(抄出・中村和弘)より、さらに抄出。

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★風雲の雲の上なる日ざしかな
★大潮にいくつもうつる花火かな
★水すまし茨生かげの死魚に憑く
★寒燈下手術にゆきし兵の床(ベッド)
★くらき夜や楊貴妃桜天に咲く

★アドルムを三鬼にわかつ寒夜かな
★枯蓮の泥より赤き櫛のぞく
★傲然と鴉啼くドリーネの冬木
※「ドリーネ」=石灰岩地域に存在するすり鉢状の溶食凹地。
★絶望の面を灼けし帆がよぎる
★心の崖にはかに昏れて十三夜

★丸いまるい砲弾につめたい雲
★茅花噛んで地獄の縁(へり)をあゆみをり
★地に未練のこす脚さげ鶴とび立つ
★冬霧のそのまた奥の手に誘はれ
★うづくまる寒波の下の多核都市
※「多核都市」=多核多心型都市。
多数の都市核(都心、副都心)を持つ都市。都心と都市核や副都心とを相互に結ぶ網の目状ネットワーク構造。