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✏『火の国』第47号を読む<10>

昨日、『火の国』から「第51回佐世保短歌連盟短歌祭」における
志久達成さんの【年度賞】受賞作品20首を紹介しましたが、他の【年度賞奨励賞・新人賞・新人賞奨励賞】などは次のようになっています。

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★散骨はこの海でよし突堤に竿を振りつつ秘かに決むる(廣澤益次郎)
★罪悪感あれど使ひぬ自販機の前で拾ひし十円玉を(〃)
★酒飲みて眠る息子に見入りたり兵ともならず鼾かけるを(〃)
など。

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★新聞にどさっと寝ころび腹見せて遊べと猫がわれをいざなふ(堤典子)
★軽やかに歩道の先を子犬行くときをり主を振り返りつつ(〃)
など。

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★雲が浮き鳥が飛ぶ方形の空子宮持たざる我が見上ぐる(峰由美子)
など。

以下は、別資料からの抜粋です。

〇堤作品「あさがほの窓辺」1位選の下田秀枝先生の選評。

10首どれもがそつなく纏まっている。動物、植物を問わず命あるものへの温かい眼差しが光る。『あさがほの窓辺はタマの指定席水遣るわれを今朝も見下ろす』『世の中に猫好きの増へてこのごろは珍しくわれも多数派となる』など絶品。『たった今』の巧みな比喩、『若苗の』の観察眼、どれもよい作品で、迷いなく1位に推す。

〇堤作品「あさがほの窓辺」1位選の迎みどりさんの選評。

ことばに瑕疵なく無駄なく歌材に普遍性があるという点で群を抜いている。自然描写に優れ、静と動が巧みに詠みこまれている。

〇峰作品「光跳ねたり」1位選の西野國陽先生の選評。

重病で手術し、入院中の状況がテーマで、患者生活の心情が具体的に歌われて真実味を語る作品となっている。貨物列車の音や涙、蝉しぐれ、風などを繊細に詠み、豊かな感受性で表現され、全体の完成度が高い。「飯椀の」「雲が浮き」「加速する」などは特に優れて感銘深い。病気を克服され、更なる好読を期待したい。

※【新人賞】に私も出していたのですが、残念ながら入賞に至りませんでした😅。でも全応募数19本の中で第8位で、下田秀枝・田頭律子・西野國陽各先生に採っていただきましたから満足しています。私の作品についてはまた後日ブログに書きたいと思います。