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✏『ながさき句暦』を読む<23>
【中川萩坊子(しゅうぼうし)さん】

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★万蕾の一気といふを秘めし梅(中川萩坊子)

勢いのある、いい句ですね。「秘めた勢い」だからなおいい。更に「梅」という季語との相乗効果と言うべきか、句全体が梅の蕾がはち切れそうな緊張感と柔らかさを感じます。

評者は同志の平尾圭太さん。他の句で、評者に圭太さんの娘さんの三好立夏さんもあり、萩坊子さんの句を評しておられました。師の句を弟子が選び、評することは何と素晴らしいことでしょう。
この句の句碑が活動拠点の島原にあります。

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一つ思い出したことがあります。つぎの写真を見て下さい。

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今年3/13の朝日新聞俳壇です。立夏さんと萩坊子さんが仲良く入選されていました。こういう時って感無量でしょうね。

★近頃は夫も手を出す桜餅(三好立夏。稲畑汀子選)

★雛店の赤の多さに酔ひけらし(中川萩坊子。稲畑汀子選)

立夏さんの句にある「夫」というのは三好勝利さん、同じく俳人でいらっしゃいます。立夏さんは『ながさき句暦』では
https://blogs.yahoo.co.jp/ajlf4921/15220541.html
にて既に取り上げました。

以下、萩坊子さんの掲載句。全部で6回。

★露の世に吾が分身となりし句碑(中川萩坊子)

★夏帽の試着鏡のうしろにも(中川萩坊子)

★紅葉せぬことにも触れて火山灰(よな)日記(中川萩坊子)

★星望の生地はジャガの花盛り(中川萩坊子)

★桐一葉とは沈黙のひとしづく(中川萩坊子)

※「露の世に~」にある句碑が冒頭に挙げました「万蕾の~」の句ですね。

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左に石橋秀野さん(山本健吉さんの奥さん。39歳没)のがありますね。石橋さんのはもう一句

★ひとり言子は父に似て小六月(石橋秀野)

がありました。評者は辻原晩夏さんでした。

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●俳友の瀬川泰之さんが今朝未明、急逝されました。詳しいことはまだわかりませんが、慎んでご冥福をお祈り致します。合掌。
(↓『ながさき句暦』で、瀬川さんにの句を紹介したところです)
https://blogs.yahoo.co.jp/ajlf4921/15212940.html
(瀬川さんが、昨年亡くなられた糸山由起子さんの追悼文を「海程」に書いてくれたこととその内容を記録したところです)
https://blogs.yahoo.co.jp/ajlf4921/14890757.html