なぜTシャツを切るのかって事だよ。
しかも人の。
切るなよ。着るもんだろうよ。
気をつけてくださいよ。
金髪切り裂きジャックナイフおじさんです。
グラビアアイドルみたいな恍惚の表情しやがって。
思えば2013の時に始まったこの犯罪。
なんでこの人はこうなんでしょう。
事の発端は、メイクしてるとTシャツの首元にメイクが付いちゃうのと、衣装とかの下に汗取りとしてTシャツを着ることがあるので、首元を広く切ったりする事を舞台とかではよくやるんですね。
そうしておじさんは自分のをカスタムしていたのです。
カスタムしだすと、なんか興が乗ったのか、下の裾の所もカットオフし始めました。
なんか短い方がカッコイイだのなんだの言ってた気がします。
洗った時にクルンとなるからいいんだよ、とか聞いてもいないのに豪語していた記憶があります。
で、おもむろに
「お前のも切ってやるよ」
と喜安くんのTシャツにハサミが伸びました。
「オイ、何やってんだ、おっさんよ。」
そういうやめてくださいよ的なのをあの人はアタマがどうかしてるので、フリだと思う節があって、より一層生き生きとやり出すのです。
なんかパンクでカッコいいじゃん、とか言ってヒャッヒャッヒャッと笑うピエロ。その姿はダークナイトのジョーカーの様だよ。
そして彼はいよいよ連続犯罪に手を染めるのです。
俺も被害者になりました。
そんな事もすっかり記憶から消えかけて、今では笑い話で過ぎ去って行くのだと思っていたのですが、まさかあの悪夢が繰り返されるとは。
いや、僕も悪いんだよ
2日間全3公演分のTシャツを予め支給していてくれてるんですが、当日の本番前の昼間の通しリハーサルで万が一汗だくになっちゃうとアレでしたから、一応リハーサルは青学ジャージの下に本番用のTシャツではなく、自前のTシャツを着ようかなと思ってまして。
やっぱりテニフェスなんで、よっしゃと思って家のクローゼットからテニフェス2013のTシャツをスパーンと手に取って勢いよくバッグに詰め込んで、家を飛び出した俺。15の夜。いや、42の朝。
気持ちを上げていこうぜ。楽しみで仕方がねえよ。と。
本番当日のドキドキの中、昼間の通しリハーサル。
よっしゃと、家から持ってきた2013のTシャツにこれ見よがしに着替えて気合をアピールしていますと、
「アレ、成くん、それって?」
とニヤニヤしながらピスタチオおじさんが近づいてきました。
ん?
あれ。
あ、しまった。間違えた。
2013の、例のアバンギャルドにカットオフされた写真のヤツを持ってきてしまった様だ。
あの時は何着か支給された中で無傷だったTシャツもあって、大事にとってあるのですが、それじゃなく、奇しくもカットオフTシャツを。
ヤツに思い出させてしまった。
「成くん。カッコいいの着てるじゃん」
と。
犯罪者に忘れていた快楽を、事もあろうか思い出させてしまったのです。
埃をかぶっていたスイッチを再び押させてしまったのか。
僕は直ぐに会話を別の方向に向けようと、一生懸命でしたが、スーサイドスクワッド先輩の目線はずっと僕のカットオフ袖から離れません。
そしてついにハサミに手を伸ばそうと。
「ちょっと、今回はやめてくださいよ。フリじゃないからな」
と一喝。
なんか濡れ犬みたいな寂しげな表情でこちらを見ています。
俺は、出番だからステージ行ってくるけど、くれぐれもハウスね。ハウス。
と言い聞かせて、ステージリハーサル。
戻ってくると、ツダケンさんがですね。
「成、ツイッター上げたから見てみてよ」
[仕立て屋さんが川本成のTシャツを勝手にアレンジしてます。ちなみに成はまだ知りません。]
#テニフェス2016
ツダケン、あんたもおかしいぞ。なんで俺はツイッターで知るんだよ。
そして、止めろよ、写真撮ってねえでよお。
あたりを見回すと、あっ。
パーテーションの隙間から顔を少し覗いているアイツがいました。
日光の日本猿よりすばしっこいアイツ。
くそう、やられた。
ダメだよ。油断も隙もねえよ。
くそう、まて、おっさん
なんだこれよお。
Tシャツをなんでこういう事にするんだ。
もう布じゃねえか。一枚布。