◾️FC東京 1-0 東京ヴェルディ@味の素スタジアム
アウェイの味の素スタジアムに、東京ヴェルディのユニフォームを身につけて独特の緊張感を感じながら、行ってきました。スタジアムの外では、同じサッカーを愛する者同士として穏やかな空気が流れる一方で、一歩スタジアムの中へ足を踏み入れると、ブーイングが飛び交い、互いのアイデンティティと誇りをかけた激しいぶつかり合いが繰り広げられました。
FC東京戦スタメン
今回のFC東京戦のスタメンは、前節の横浜FC戦から2名が変更されました。福田湧矢と松橋優安が外れ、稲見哲行と唐山翔自が起用されました。
松橋優安は、前節の試合で受けた警告累積による出場停止処分。この試合で選ばれたのが、MF稲見哲行とFW唐山翔自でした。稲見はリーグ戦では14試合ぶりの先発、そして唐山はヴェルディ加入後初のスタメン出場でした 。 このスタメン変更は、まさにチームが「空いた期間中にどれだけ積み上げられたか」を問う試金石でした。
改善された攻撃と、拭えない課題
東京ダービーらしい白熱した立ち上がりで、お互いにチャンスが多かった前半の展開でした。ヴェルディは試合開始からわずか1分足らずでゴール正面のFKを獲得し、攻撃的な姿勢を示しました。その後も、4分にはCKから染野唯月が惜しいヘディングシュートを放つなど、試合の序盤から得点の匂いを漂わせました。
ヴェルディの攻撃は、サイドを広く使い、森田晃樹や齋藤功佑が流動的に動くことで、相手に的を絞らせませんでした 。しかし前半の攻勢が決定的な結果に結びつかなかった点が、この試合の大きな分かれ道となった。17分には齋藤功佑のミドルシュートがクロスバーを直撃しましたが、得点には至りませんでした 。得点が無しで終わる展開ではなさそうでしたが、同時にチームが長年抱える「決定力不足」という課題を再び浮き彫りになりました。
たった一つの失点と致命的な課題
スコアレスで迎えた後半、試合は一瞬の隙を突かれて動きました。後半60分、FC東京の長倉幹樹がダイレクトシュートを決め、これが決勝点となりました 。この失点は、チームの構造的な弱点を露呈しました。
この試合でも得点力不足は解消されることはなく、この問題は単一の試合に留まらない、チーム全体にわたる構造的な課題となっています。2025年シーズン、東京ヴェルディの総得点数はわずか16点で、これはリーグワーストの数値となっています 。さらに、7月以降の7試合では、わずか1得点しか挙げられていないという驚くべき結果になっています。
戦術的なボール保持と攻撃の完成度は評価されながら、シュートやゴールの数値がリーグ最下位レベルであるというこの矛盾は、チームが直面している最も重要な問題です。これは、戦術的にチャンスは作れているものの、最後のフィニッシュの精度や決定力といった「個の能力」が、リーグ全体と比較して不足しています。
唐山翔自への期待と役割
唐山翔自は、今回の東京ダービーでドリブルなどで停滞していた攻撃陣に新たな風を吹き込む役割を果たしました。彼がガンバ大阪からの育成型期限付き移籍を繰り返してきた背景には、実戦経験を積むため。
今回の初スタメンは、監督が彼のポテンシャルを信じ、攻撃陣の活性化というチームの喫緊の課題を解決するための切り札として起用したのですが、一定の役割は果たしたと思います。
東京ダービーでの敗北
FC東京との東京ダービーに0-1で敗れ、チームは4試合勝ちなしとなり、順位を15位から16位に後退させました 。
東京ダービーだけは負けてはならないのですが、一方でヴェルディの攻撃は戦術的には洗練され、「積み上げ」は着実に進んでいると感じました。空いた期間中にどれだけ積み上げられたかはこの試合で答えが出ませんでしたが、この敗戦という苦い経験を通じて、選手たちが精神的にどれだけ成長できたかを次節で証明してほしいです。