「やぁ、みなさん! 

 こんばんは! 

 天才解説者の梶原楽騎です」

「おおっと! 

 出だしから自分の自慢かぁ?!

 天才実況アナウンサーの乙立一郎(おったち・いちろう)です。

 さぁ、ついに、ここ桃太郎の故郷・岡山で、

 なっなんと!

 第19回全日本フルコンタクトテコンドー選手権大会の予選会

 第1回中国・四国テコンドー選手権大会が開催されるのです!」


「はいッ!

 それま~で~ぇよ~ぉ~

 チミ達の出番は、岡山大会と高知大会だけです。

 解説は我が輩がやるので、

 さいならっ! サイナラッ! アンニョン! チャィチェン!」

楽「むGO・・・・・」

乙「ひDO・・・・・」


というわけでまじめな試合講評。


中国・四国、

初の全日本フルコンタクトテコンドー選手権大会予選。
一部無差別級には、12名がエントリーした。

その中、全日本出場権を得るのは優勝者1名のみ。


1回戦。

すべての勝者が完勝。


2回戦では、

荻山寛対浅井淳戦、

シモネタ、いや失礼、

霜倉亮対辻陽介戦が接戦で、いずれも2-1。


だが、準決勝戦では、高橋佑輔と霜倉亮がスタミナ切れ。

他方、昨年の第18回全日本フルコンタクトテコンドー選手権大会初出場を果たした

浅井淳と瀬崎弘一は、自身の組手ペースを堅持していた。

浅井は、3-0、

瀬崎は、蹴美7Willポイント勝利で文句なしの決勝戦進出。

やはり一度でも全日本FT大会に出場し、

後楽園ホールのリングに立つと

「一皮むける!」

のだろう。


浅井対瀬崎の決勝戦。

浅井は、参加選手中、最も動きが良く、蹴りにのびがあった。

31歳という年齢、

57kgという軽量でありながら、

自分よりも年齢が若く、体格の良い選手を圧倒していた。

跳び360度回転蹴りは、

「見事な蹴美!」

だった。

「第18回全日本FT大会でも、こういう動きを期待して推薦したのに」

と、過ぎたこととはいえ、いささか歯がゆい思いがした。


対する瀬崎は、あまり動きが良くなかった。

だが、試合のかけひきが長けており、

「終わってみると勝っていた」

という試合内容だった。


本戦は引き分け。

延長戦では、

浅井のスタミナが切れて動きがとまり、

対する瀬崎は、

確実に蹴美7willポイントを

積み立て貯金のように

せっせ、セッセと貯めてゆく、

そんな感じの試合であった。
結果は、瀬崎の作戦勝ち。


だが、

「明らかに瀬崎の練習量が落ちている」

そんな印象が強かったので、

初心を忘れずがんばらなければならない。

今回の圧巻は、一部蹴武の型試合。

野村修一と植田博和が抜きんでていた。

我が輩の予想では、

「関東大会優勝の植田に、

 野村がどこまで戦えるのか?」

というものであったが、

試合が始まってみると

「甲乙つけがたいが、

 やや野村の全体的なバランスがいい」

と観じた。

特筆すべきは、野村が蹴武の型を演じていると

場内が、

 シ~ン

と静まりかえり、

野村の型が終わると

 パチ! パチ! パチ! パチ!!

と拍手がわき起こることだった。

これが植田にはなかった。


結果は、野村が初優勝。

第19回全日本FT大会の蹴武の型への出場権を与えた。

準優勝の植田も、

「第10回関東大会優勝、今大会準優勝と安定した実力」

を評価し、第19回全日本FT大会出場権を与えた。

これで4枠中、2名が決定。


次点は、3位入賞の廣川で、

「第6回関西大会の結果をみて判断する」

ことにした。


4位の荻山もかなりレベルアップした。

試合終了後、

「荻山!

 このまま引退するのは惜しいぞ。

 京都の大学院に進学したらJTA京都同好会を立ち上げたらどうだ?」

と真剣にすすめた。

 

二部蹴武の型は、岡山大学の入江優大が初優勝。

2位には、WTF、ITFを経てJTAに再々入門した35歳の北川弘幸が準優勝。

大変、意味のある入賞だった。


三部蹴武の型・少年少女部は、観戦していて楽しかった。

微笑みあり、

涙ありの

なごやかな風景だった。


試合で負けたチビッコ選手が、

親元に走り出して父親の胸の中で大泣きする、

「泣く子は育つ!」

が我が輩硬派感傷主義の持論で、

子ども達は良い涙を流したと思う。


「幼い頃は、喜怒哀楽・信賞必罰が必要!」

で、親たる者、その節目節目で

いっしょに喜び、

いっしょに怒り、

いっしょに哀しみ、

いっしょに楽しむべきだ。

他方で健全な大人に育てるためには、

一生懸命がんばって良い結果がでたら褒め、

そして形にしてお祝いし、

逆に、悪いことをしたら

その子どもが耐えうる限りで罰を与えなければ

「まともな大人になろうはずはない!」

「文部科学大臣の執務室で叫ぶことができる!」

のが硬派感傷主義である。


第1回中国・四国テコンドー選手権大会。

大変、すばらしい大会だった。

数年後、

中国大会、

四国大会

と分離開催を予定しているわけだが

「妹尾よ! 

 古谷よ!

 未来は君のためにある!!」

と結びの言葉にかえよう。