*3/7更新(カサブランカその2)


リック(ハンフリー・ボガード)は、クールなナイスガイだ。

けっして美男子とは言い難いが、

とにもかくにも

「シブイ!」


カサブランカの人々から、

恐れられ、かつ憎まれている警察署長もリックに一目置いており、

「私が女だったら、きっとリックに惚れているでしょう」

と公言してはばからなかった。


リックは、店の客とは絶対飲まない。

御世辞もいわない。

客を選ぶ。

部下が賭で負け、店に損をさせても、

怒るどころか

「気にするな」

と励ます度量もある。

常に冷めた目をしており、

葉巻と少量の酒、そしてカードが似合う男だ。


もちろん女にもてる。

しかし、まったく女に興味がない。

だからリックに惚れているが、

まったく相手にされないため、

やけ酒を飲んでいた女が

リックにからみながら言った。

(映画の翻訳者によって違うが)。


女「昨日、どうして会ってくれなかったの?」

リック「そんな昔のことは覚えていない」

女「今日は会ってくれるんでしょう?」

リック「そんな先のことはわからない」


「キタ~きた~北朝鮮!

 一度でいいから言ってみた~い!」

と思うのは、我が輩だけではいだろう。

このセリフは

「ハリウッド映画史上、名セリフ100!」

にかならず上位にランクインされている。


ところが、運命の女が、リックの店に来てしまった。

イルザ(イングリット・バーグマン)だ。

 ピカピカピカ~

とまじに輝いているのだ。イングリット・バーグマンは。

あの美しさといったら、表現のしようがない。

彼女はハリウッドでは当たり前の整形手術を拒否し続けたことは有名。

つまり

「天然大美人!」

なのである。

(ふと思ったが、吉永小百合と共に、団塊の世代を虜にした栗原小巻が

 和製イングリット・バーグマンだったのではないかと観じた。

 ちなみに和製オードリー・ヘップバーンが、吉永小百合ではあるまいか。

 今60歳前後の初老の人々が学生の頃、

 吉永小百合ファンをサユリスト、

 栗原小巻ファンをコマキストと言ったらしい。

 彼らは、

 「吉永小百合と栗原小巻は、絶対、トイレにいかない!」

 と信じ、それを否定する奴とはケンカしたというのだから、今の若者をあまり笑えないと思う)


イルザは、旧知の黒人歌手・サムに言った。

「あの歌をひいてちょうだい」

サムは断ったが、しぶしぶピアノで弾き語りを始めた。

映画史上名高い名曲

  アズ・タイム・ゴーズ・バイ

である。


すると、リックが怒りながらサムに近づき言った。

「その歌はやめろ!」

次の瞬間、

「!」

リックは驚く。

イルザと再会したからだ。

しかも旦那らしき紳士(ビクター。反ナチスの闘士)を伴っている。


実は、リックとイルザは、

ナチスドイツに占領される前のパリで

結婚を誓った仲だった。


その夜。

リックは、一人で酔いつぶれるまで飲んだ。

サムが心配すると、

「あの曲をひいてくれ」

と言った。

 アズ・タイム・ゴー・バイ

である。


次いで愛に満ちたパリでの回想シーン。

リックはイルザの顔をまじまじとみながら言った。


「君の瞳に乾杯!」


キタきた~北朝鮮どころか、

月に飛んでしまうような気になってしまう。

これも

「ハリウッド映画史上、名セリフ50!」

に選ばれる名セリフで、

4回は言っているような気がする。


以下続く