今から去る6年程前、

三部の試合を終えたばかりの緑帯(だったと記憶している)をしめた

千葉大学の女学生を

本部席に呼び寄せて

 ーお嬢さん、お茶でもいかがですか?

というわけではなく、


「指導者の井上鉄朗によく似て、技に光るものがある。

 とくに踵落としが良い。

 どうだ。

 全日本フルコンタクトテコンドー選手権大会を目指さないか!」

「わかりました。がんばります」

それが千葉船橋支部の長崎優子だった(後、就職により横浜に引っ越したので横浜西口支部へ移籍)。


以来、長崎は、

第13回~第17回迄の全日本フルコンタクトテコンドー選手権大会連続出場を果たし、

優勝2回(連覇)、準優勝1、3位2回

と、

 ー出場した全日本大会すべてに入賞!

という金字塔を立てている。


これは男子選手にもいない快挙であり、

それを評価して

 ー2年連続のITA杯最優秀選手賞

に選んだ。


今回の全日本大会を見る限り、

女性無差別級で、

 ー初のKO勝利!

を果たしているように、

JTA女子選手の中では、

気迫と気力および体力そして技が、頭一つ抜きんでているといえよう。


このままいけば、

 ー3連覇は確実

といえるが、

より一層の進化を期待して

 ー蹴美の女王

と絶賛されるような組手を確立してもらいたい。


これは難しいわけではなく、

斉藤健や坂本洸巳同様、

 ー初心を忘れず昔に戻す

ことで充分だ。


つまり我が輩が、

6年前に、

 ーこの娘の踵落としは蹴美だ!

と観じさせた得意技の踵落とし蹴りの威力を高めなければならないのだ。


空手王国・日本で、

 ー前に突進し、回し蹴りと突きの連打を得意とする選手

は、腐るほどいるわけで、

この競争の激しい日本の打撃系武道界において、

JTAが勝ち残るためには、

最大のイベントである全日本フルコンタクトテコンドー選手権大会で

 ー流派の個性

を前面に押し出さなければならないのは自明の理だ。

そしてその個性は、

 ーどういう選手がチャンピオンなのか

ということで評価されることは疑いもない。


第18回全日本フルコンタクトテコンドー選手権大会では、

初心に帰り、

 ー必殺の踵落とし蹴り

をひっさげて、

3連覇に挑戦してもらいたい。