2016.8.1


7月29日「北東北でも梅雨明けした模様」と報道された。短い北の夏の始まりである。7月30日には御所湖花火。そして8月1日から4日まで盛岡の夜に太鼓が鳴り響くさんさ踊りが盛大に行われ、6日には「盛岡花火の祭典(旧・都南花火大会)」。これが終わり、翌日7日()は北上みちのく芸能まつりのフィナーレの花火大会。そしてこの日が「立秋」である。例年残暑はそれなりにあるものの、やはり「土用」を過ぎると朝夕を中心に秋を意識しだすのである。


ひとはどんな時、どんな感覚で季節を意識するだろうか。暑さ寒さ、日の長さ短さ・・・。マスメディアや周囲に踊られている感は否めないが、時節のニュースや季節を先取りした広告(宣伝)などで気づかされたり、刺激されたり、若い頃ならワクワクする感じを覚えたりする。


さて先週末会議のため仙台に出かけた。その時にふと夏を感じたエピソードが二つ。30日昼前、炎天下近隣の駅まで荷物を抱えて1kmほど歩いた。汗かきでない僕だが、さすがに汗が噴き出し、上着(ジャケット)は脱いだ。・・・人通りのない日中炎天下、ぬるい風と強い日差しを感じながら…今年初めて夏を意識した。ふと、子どもの頃子供会で集まって学校のプールに行った時の情景が思い出された。気温、陽射し、汗・・・共通するものは様々あるが、一番記憶を刺激したのは「空気()の匂い」であった気がする。



翌31日仙台で迎えた朝、ゆっくり目に青葉山方面、仙台国際センター、広瀬川周囲の緑の中を10kmほど走っていいたら、懐かしい匂いを感じて、再び記憶が子どものころとつながった。やはり小学生の頃、早起きしてカブトムシ取りに森の中に入った時の「それ」だと気付いた。・・・まだ街が目覚める前の静けさ、朝からの晴天とあわせて、懐かしい夏休みの一コマだ。


 ひとの記憶はけっこう曖昧・適当だ。エピソード・物語としての記憶は後から都合のいいように修飾されることも少なくない。一方、一瞬のうちに過去の記憶・一場面をフラッシュバックさせるものとして、視覚からの刺激と同等、またはそれ以上に嗅覚・匂いの刺激は大きな影響をもっている。



尾形 文智


岩手県 盛岡市 川久保病院
川久保病院ホームページ  http://kawakubo-hos.jp/
さわやかクリニックホームページ http://sawayaka-c.net/