先日のこと、小学校から電話があった。

「今度、学校で防犯訓練があるんですが、教育委員会に『不審者』をお願いしているので・・・。」


「分かりました、僕で良ければ」


しかし、後日、考えた。


どちらかというと、不審者やるには僕では迫力に欠けてしまう。

他に誰かいないかな。


と思った瞬間、保健福祉課の"カズキ"が浮かんだ。


早速、"カズキ"に

「"カズキ"、不審者やって!」

というと

「イイですよ!」


そして、防犯訓練当日。


校長室に通された二人。


そこには、先生方の他に警察署の方など。

早速、打ち合わせ。


「えー、昨年は強暴犯風だったんですが、今年はどうしましょう?」


"カズキ"「まー、強暴犯でも、変質者でもどちらでもいけますんで」


「じゃー、今回はいかにも不審者風ていうことで・・・」


そして、本番。

"カズキ"「やべー、緊張してきた。」

僕「大丈夫か。」


時間になり、"カズキ"は教室へ。

担任の先生が出てくる。


そして"カズキ"、いきなり手に持った凶器(プラスチック製の定規)で担任の先生を一刺。


それも、そのはず、"カズキ"は剣道の有段者。

間合いの取り方はさすがといった感じだ。

とても、訓練とは思えない雰囲気になってきた。

そして、警察署の署員も食い入るように観察する。


応援の先生が来た。


またもや"カズキ"の一刺し。


しかし、さらに応援の先生が来る。


"カズキ"の真剣モードに先生たちも応戦。

机で壁を作り、椅子でガード。

そして木製の三角定規(よく学校で使っているデッカイやつ)で"カズキ"を追い詰める。


時折、聞こえる"カズキ"の声。

「痛っ、痛っ!」


この時、僕は思った。


「やらなくて、良かった。」


防犯訓練終了後、警察署員からの講評。

「今日は先生方、3人はやられてますね。」


それにしても、"カズキ"にしても、先生方にしても、訓練とは思えない雰囲気だった。


ということで、空席となっていましたアカデミー助演男優賞は"カズキ"に・・・。