中央区議会でも議論があり、区としても前向きな取り組みを具体的に検討していると報告のあった件です。


日本経済新聞より転載

園児の遊び場足りない 東京・臨海部の地価上昇

国土交通省が18日発表した公示地価から地価の上昇が鮮明になった東京の臨海部で、保育園児らの遊び場不足が深刻になっている。2020年東京五輪の舞台となる一帯では、高層マンションの建設ラッシュや人口増加が進む。待機児童の解消に向けた保育園の新設も続くが、高い不動産価格が影響し、十分な園庭を確保できないケースが増えているようだ。

 選手村予定地に近い東京都中央区の月島地区。17日午前、都の認証保育所「つきしまさくらさくほいくえん」の児童約30人が、タワーマンションに囲まれた公園に到着した。間もなく別の保育園の一団が現れ、滑り台の周辺は順番待ちの児童であふれかえった。

 引率する保育士の永井真紀さん(42)は「近所の保育園と鉢合わせすることがほとんど。100人くらいの子供が公園内に群がる日もある」という。

 11年に開設した同保育園は、屋上に園庭を備えているが、広さは約50平方メートルしかなく外遊びでは近所の公園を利用する。数年前になり、他の保育園と一緒に利用することが増え、別の公園に移動することもしばしば。児童の体力づくりに欠かせない広場を確保するのに一苦労だ。

 入園希望者は後を絶たず、待機リストに並ぶ児童の名前は今年度、定員約30人に対して140人。平井祐子園長(58)は「住みよい環境を求めて、区外から引っ越してくる子育て世代は、これからも増えるだろう」と話す。

 中央区によると、月島・勝どき地区では、18施設ある認可保育園のうち園庭を備えるのは6施設のみ。認証保育所9施設にはいずれも園庭がない。複数の施設が同じ公園を園庭代わりに使うケースもある。認証保育所「ちゃいれっく月島駅前保育園」は、公園を有効活用するため、互いの児童が一緒にボール遊びする計画などを近所の保育園に提案する。

 児童の遊び場不足が深刻化した背景には、ここ数年の急激な地価上昇があるとみられる。臨海部では東京五輪に向けたインフラ整備などへの期待から、分譲マンションの販売が引き続き好調。月島・勝どき地区の住宅地の公示地価は、昨年比で約4~9%上昇。用地確保のハードルはさらに高まっている。

 同じ事情を抱える江東区では、広い保育スペースを確保するため「サテライト保育」と呼ばれる取り組みが始まった。昨年4月に開設した認可保育園「江東湾岸サテライトナーサリースクール」は、地価が比較的低い有明地区のオフィスビル内に児童の遊び場として区が賃貸した本園と、住宅地に近い東京メトロ豊洲駅近くの分園とを一体的に運用する。

 児童らはいったん分園に預けられた後、バスで15分ほど離れたビル3階にある本園に移動する。本園の広さは約1千平方メートルで、外遊び用のテラスや室内で運動ができるホールも備えた。預かる園児は230人を超えるが、狭さは感じさせない。

 同区の田渕泰紀保育計画課長は「本当は園庭などの広場で遊ぶのが理想だが、場所の確保は難しい。できる限り伸び伸びと体を動かせる遊び場を与えてあげたい」と話している。