日本経済新聞より転載


東京五輪選手村の整備、不動産大手連合が名乗り


2020年に開催する東京五輪に向けて、東京都が臨海部の晴海地区に整備する選手村の事業協力者に、三井不動産や三菱地所、住友不動産など10社前後で構成する大手デベロッパー連合が名乗りを上げていることがわかった。大会後、選手村は民間住宅に転用し、中心部には2棟の超高層マンションを建設するなど大規模再開発を実施する方針が決まっている。総事業費が数千億円に達するプロジェクトを有力企業が結集して推進する。

 都は五輪後の街づくりまで含めた計画を検討する事業協力者を公募中で、3月末に正式決定する。不動産開発の実績や資金力などを審査基準としており、三井不動産などのグループが選ばれる公算が大きい。実際の整備を担う事業者は16年春にも改めて選び直す。ただ限られた時間で施設を完成させなければならず、今回の大手連合が母体となる可能性が高い。

 選手村は晴海地区の都有地に整備する。敷地面積は約13万4千平方メートル。選手が宿泊する22棟の中低層施設は、大会後に改修して民間住宅として売り出す。このほか超高層マンション2棟や大規模商業施設などを新設する。住宅の供給量は全体で6千戸近くに達するなど、市街地再開発では空前の規模になる。

 選手村の建設費は五輪招致時の試算で1057億円。マンションの建設費など新しい街づくりに伴う費用も加わり、総事業費は大きく膨らむ。1社で担うには投資額が大きく、6千戸を売り切るにはリスクも伴うため、大手各社が異例のタッグを組むことになった。

 選手村跡の住宅開発の成功には、交通インフラの整備が課題となる。晴海地区には鉄道の駅がないため、都はバス高速輸送システム(BRT)を19年度に導入する方針。地元の中央区は、より輸送能力の高い地下鉄の新線整備を求めている。