読売新聞より転載


2020年東京五輪・パラリンピックで中央区晴海地区に建設される選手村について、中央区は26日、大会終了後、宿泊施設を学生寮や社宅として使うことなどを盛り込んだ要望書を都に提出した。交通環境の整備に向け、地下鉄の新路線の導入も求めた。区は今後、大会後の晴海地区の発展に向け、都と協議を行う方針。


 選手村は晴海地区の都有地44ヘクタールに整備され、大会中は選手ら約1万7000人が滞在する。都は今月19日、閉会後は跡地に50階建ての超高層マンション2棟を建設する構想を発表。建設する宿泊施設を含め、住宅棟計24棟、計約6000戸を分譲・賃貸マンションとして供給し、人口1万人規模の街として整備するとしている。

 これを受け、区は五輪後の晴海地区に幅広い世代が居住できるよう、分譲などのほか、学生寮や社宅として使える棟を設け、間取りも検討するよう要望。お年寄りも安心して暮らせるサービス付き高齢者住宅も設けるよう求めた。

 要望書では、交通環境の整備も訴えた。晴海地区の最寄り駅は都営大江戸線勝どき駅だが、中心部から徒歩約20分、最も遠いところだと約30分かかる。そのため、大会後の住宅供給に見合う地下鉄の導入を求めた。

 このほか、五輪で使われるスポーツ施設などを、大会後の住民利用を見据えて建設するよう求め、地区の外周に、緑に囲まれたオープンスペースを作って、ジョギングコースとして整備することも提案している。

 晴海地区は、日本橋、丸の内などのビジネス街や商業、文化施設が集積する「都心部」と、豊洲、お台場、有明などのイベント会場、スポーツ施設などがある「臨海部」の中間に位置する。区は「晴海地区を、こうした地域への通勤や観光の拠点になる街にしたい。地区内の新駅建設をぜひ、実現してほしい」としている。

 大会後の晴海地区の整備を巡っては、今年2月に設立された地元町会などによる「晴海地区将来ビジョン検討委員会」が今月まで10回にわたる会合で地区の将来構想を策定し、区に提言していた。

 都オリンピック・パラリンピック準備局は「区の要望は地域の声として重く受け止める。都としては要望を踏まえ、五輪終了後を念頭に置きながら街づくりのあり方を検討したい」と話している。